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[社説]李大統領の「8・15処方箋」、共感の形成が重要だ

[社説]李大統領の「8・15処方箋」、共感の形成が重要だ

Posted August. 17, 2009 08:12,   

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李明博(イ・ミョンバク)大統領が、8・15祝辞で、韓国の長年の弊害である地域主義を解消し、生産的な政治文化を形成するための案として、選挙制度と行政区域の改編を提案した。頻繁な選挙で国力が消耗し、政治的葛藤と対立が深まる現実を克服するために、大統領選挙や総選挙の選挙時期の一致と選挙回数の削減も提案したのだ。李大統領が、「根源的処方」の必要性を言及して以来、2ヵ月ぶりに出た青写真だ。大統領就任1年6ヵ月が経った時点で、新たなスタートラインに立つという覚悟で総体的な国政課題を明らかにしたが、国民への説得と政界の合意を必要とする至難の課題だ。

選挙制度の改編は、現在1選挙区で1人の国会議員を選ぶ代わりに、2〜5人以上を選出する中・大選挙区制に変えるか、過去に論議された圏域別比例代表制と惜敗率制度の導入が検討される可能性がある。全羅道(チョンラド)でもハンナラ党議員が、慶尚道(キョンサンド)でも民主党議員が選出されることで、特定政党が一地域の議席を独占する弊害を是正しようという試みだ。同制度が成功する場合、「全国政党」の出現が可能になり、地域主義とこれに基づく政治的葛藤がかなり緩和される可能性がある。

憲法と法律に規定された選挙制度の変更は、すべての重要政派が意見の一致を見なければ実現が難しい。これまでの大統領選挙、総選挙の地域別得票率を考慮すると、全羅道でハンナラ党議員が当選する可能性が、慶尚道で民主党議員が当選する可能性に比べて相対的に低い。盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領が、中・大選挙区制の受け入れを前提に大連合政府を提案した時も、ハンナラ党は拒否した。しかし、現行の小選挙区制ではトップだけが当選し、地域区民の民意を十分に反映できず、特定政党の地域独占で、政治的・感情的地域主義を深めている現実を考慮するなら、大乗的な次元で考える必要がある。李大統領が、「与党が多少損をしても、必ず果たさなければならない」と発言したのも、このような認識によるものとみえる。

行政区域の改編は、すでに以前から取り上げられていた事案だ。第17代国会の時は、与野党合意で具体的改編案まで定められたが、市・道知事らが反発し、06年の地方選挙が重なったことで、うやむやになった。第18代国会でも、今年3月、地方行政体系改編特委が構成され、委員長であるハンナラ党の許泰烈(ホ・テヨル)議員が、議員62人の署名を受けて、全国230の市郡区を2から5地域にまとめて、60〜70の広域自治体に改編するという法案を代表で発議した。野党も比較的積極的であり、政界がその気になればすぐにでも推進が可能だ。

ほぼ一世紀前に日本の植民地支配期につくられた行政区域を、時代の変化に合わせて調整しなければならないという総論的認識に対する共感は高い。地方行政の無駄と非效率を減らすためには、行政区域の改編が必要だ。しかし、各論に入ると、住民の小地域主義のうえ、自治体首長と地域公務員の利害関係が絡まっている。現実的に、来年の地方選挙から適用することは難しい。一気に市道の廃止や市郡区の統合をすることが容易でないなら、2014年の地方選挙を目標に、国民的同意の下、順次推進していく案も考慮に値する。

選挙の回数の削減は、現在、年間2回の再・補欠選挙を1回に減らす程度なら、大きな問題はないだろう。大統領と国会議員、そして地方選挙の時期を合わせて、同時選挙を実施するには、改憲が必要だ。過度に頻繁な選挙による国力浪費と国民の疲労感を考慮するなら、いくら困難でも調整が必要だ。改憲問題を公論化するなら、権力構造の改編までを含む総合的な論議が避けられないだろう。22年前の87年に、民主化の産物として作られた現行憲法の体系を時代の変化と国家的状況に合わせて改めなければならないため、国民的共感をもとに、もう少し慎重に接近する必要がある。

中道実用が憲法精神である自由民主主義と市場経済の価値を尊重し、さらに発展させるという前提の下、「為民」政治の具現と先進化の方策として提示したことは適切だった。李大統領は、中道が左と右の中途半端な折衷や機械的平均ではなく、理想と現実のバランスを持つものだと強調する。実用とは、中道を実現する方法論であり、国民の生活と乖離した観念やスローガンから脱することだという。韓国社会の統合と先進化のために、どのような具体的で精巧な政策の組み合わせでこれを実現していくのかがカギだ。

李大統領の8・15提案が意味ある実を結ぶには、現実に合わせて具体化するうえで、国民の共感を引き出すリーダーシップが何よりも重要だ。冷徹に是々非々を問い、韓国社会全般の病理現象を治癒するために、政界と社会各界、国民の前向きな論議が必要だ。