企業の投資低迷を受け、韓国経済の年間潜在成長率は、4%台前半から3%台へと下がったという深刻な分析が各経済研究所から出た。1998年の通貨危機を受け、かつて6%だった潜在成長率が約2%低下ことに続き、昨年の金融危機でさらに下落した。このように韓国経済の基礎体力が急速に弱まることになれば、経済危機が終わっても、韓国経済の成長率は危機前のレベルを取り戻すことは不可能になる。
14日、民間の経済研究所や韓国銀行(韓銀)、企画財政部などが予測した韓国の潜在成長率は、従来の4.9%から3%台へと下がった。政府は、全ての生産手段を投入して自力で達成できる生産能力を示す潜在成長率が下落することになれば、失業はさらに深刻化し、経済の持ち直しはさらに厳しくなるとみて、原因の分析に乗り出した。
●投資減少で成長余力萎縮
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下の06年、未来戦略構想のために立ち上げた「政府及び民間合同作業団」は、投資拡大や生産性の向上により、06〜10年の韓国の潜在成長率は、従来(4.4%)より0.5%上がると見込んだ。政府も最近まで、同数値を非公式な予測値としていた。
しかし、三星(サムスン)経済研究所は14日、潜在成長率は昨年すでに3.9%台となり、今年は3.7%までに下がるものと試算した。現代(ヒョンデ)経済研究院は、今年の潜在成長率は3%台に下がるだけでなく、来年は2%台にまで下落すると予測した。韓国開発研究院(KDI)と韓国銀行は、予測値は出していないものの、潜在成長率が大幅に下がったことには同意している。
潜在成長率の下落は、△投資萎縮、△就業者の減少、△生産性の低下などの要因が共に働いた結果だ。このうち、金融危機を受け、企業による設備投資が大幅に減少したことが、成長率下落に決定的な影響を及ぼした。5月基準の設備投資伸び率は、昨年同月に比べて13.1%減少するなど、企業による設備投資の規模は昨年10月以降、8ヵ月連続で減少している。
●失業者増加が最大の課題
潜在成長率が低下すれば、失業者は増えるのが最大の問題だ。グローバル経済危機を受け、臨時労働者や日雇いを中心に、短期的な失業が発生している状況下で、成長能力まで底をつけば、失業問題は構造的かつ長期的な傾向として定着してしまう。
実際、昨年10月まで3.0%水準だった失業率は、実体経済が急速に冷え込み、今年2月からは3.8〜4.0%水準まで上昇した。韓国経済研究院のビョン・ヤンギュ研究委員は、「今は、経済危機という景気変動的な要因のため、失業率が上昇する局面にある。投資の低迷が続くことになれば、潜在成長率そのものが下がり、経済危機を克服しても、雇用事情はさらに悪化しかねない」と指摘した。
このため、△規制を解除し企業の投資を誘導し、△制度的な育児負担を緩和し、出生率を引き上げる政策を一貫性して推進すべきだと、経済専門家らはアドバイスしている。
現代経済研究院の兪炳圭(ユ・ビョンギュ)経済研究本部長は、「潜在成長率を押し上げるためには、投資を誘導して福祉を改善するなど、基本を大事にする政策を展開しなければならない。潜在成長率の回復は、金融危機の克服よりさらに難しく、時間がかかる課題だ」と語った。
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