予算を使って29万の雇用を創出するという政府対策には、数字から見て信頼が置けない。どの現場でどれだけ雇用を増やすといった具体性に欠けており、従来の雇用まで含め、大まかな数だ。数字だけ水増ししておいて、予算にも反映されていない対策もある。雑用同然の短期間のアルバイトまで含んでおり、働き口を「小遣い稼ぎ」程度に考えているようだ。
学校を卒業した若者たちは職にありつけず転々としており、職を失った高齢者たちは飛び降り自殺を図っている。このような切羽詰った現状への認識が、政府の雇用対策では全く読み取れない。
主要4河川の整備事業を通して6万3000の雇用を作るとしているが、重装備を使わずショベルやツルハシだけならともかく、現実味に欠けている。8万余りの若者の研修制度は準備が行き届いていない。
この中には、中小企業の研修生2万5000人も含まれているが、いざ中小企業側には適当な仕事がない上、賃金を支払うほどの資金力もない。ただでさえ、不足がちな雇用創出予算は、不正受給例が相次いで発覚している。倒産の危機に追い込まれている自営業者を手助けする対策は、法令改正が追いつかず、下半期になっても実施できるかどうかすら分からない。
11年前の通貨危機直後に比べ、決して劣らない経済状況の中、政府の行動はあまりにも遅い。今年第1四半期(1〜3月)から不況と企業のリストラが本格化すれば、従来の雇用の維持すら厳しくなるだろう。雇用情勢はそれこそ非常事態である。名ばかり非常経済政府と大げさに掲げておいて、雇用対策では強い意志が全く見えない。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、04年に若者の失業者が急増すると、5年間で200万の雇用を創出すると発表したが、かえって減ってしまい、「口先だけの政府」という不信を招いた。このままいけば、李明博政権も前政権の二の舞を踏みかねない。非常経済政府なら雇用を巡る数字上の操作はやめ、現場で実際雇用を増やすことに政権を死活かけるべきだ。






