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[オピニオン]不況型黒字

Posted January. 05, 2009 03:00,   

景気が厳しい時ほど多くの企業では緊縮経営を選ぶ。不況に伴う売上や利益減少を相殺するために、さまざまなコストをさらに減らして、帳簿上の黒字を出す戦略である。好況の時と比べ、黒字の規模は同様でも役員や従業員、取引先の苦痛を伴わざるを得ない。会社からリストラされたり、取引中止を避けたことだけでも幸いと思うべき時もある。

◆知識経済部は昨年、年間130億ドルの赤字を記録した貿易収支は今年、119億ドルの黒字へと転ずるものと予想した。しかし、中身を見れば必ずしも喜ばしいことではない。世界経済が軒並み低迷し、輸出も低迷している中、国際原油価格や原材料価格の下落、内需不振による輸入需要が激減したために生じる「不況型黒字」であるからだ。このような引き算型黒字でも赤字よりは増しだが、全体的な国民経済や消費者の厚生側面では国民生活に苦痛を強いる黒字である。

◆だからとって、あまりにも平価引き下げする必要はない。当分、グローバル的な景気低迷は避けられない現状の中、貿易収支や経常収支の黒字が続くことになれば、為替市場の不安など、我が経済の悪循環の輪を断ち切るのに役立つことになる。外貨保有高を少しでも増やしていくことで、ウォン相場の安定や外国資本の「セール・コリア」心理の抑制、国内各企業の「金脈硬化」の緩和を期待できる。即座に実体経済に及ぼす影響は大きくないだろうが、為替や資金市場の不安が落ち着くことになれば、結局、実体経済の回復にも貢献できるだろう。昨年、一寸先も見えない金融危機に見舞われた時、米経済界で出回った言葉のように、個人であれ企業であれ、国が緊急な時は「現金が王様(Cash is King)」である。

◆貿易収支の黒字の最も重要な出発点は輸出である。わが国は輸出が国内総生産(GDP)の40%を占めるほど、経済の対外依存度が高い。輸出は我が経済の希望であり、活路でもある。真っ黒な雲に覆われている輸出現場の現実を軽んじることはできないが、廃墟から経済を立て直した韓国人特有のチャレンジー精神を持って、海外市場の開拓や競争力の高い製品開発に乗り出せば、新しい突破口を切り開くこともできる。不況型黒字から好況型黒字の構造へと取り戻すために、企業や政府は輸出促進に全力を傾け、国民をそれを全面的に支える時期に来ている。

権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com