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[オピニオン]テニュア

Posted September. 24, 2008 08:59,   

韓国社会にテニュア(tenure=定年保障)制度が人々の記憶に刻印されたのは、徐南杓(ソ・ナムピョ)総長のKAISTが昨年、テニュア申請教授のうち39.5%を脱落させてからだ。それまでは、韓国の大学では、テニュアの審査が形式行為にすぎなかったため、そのような制度があることすら知らない人が多かった。当時、徐総長は、40%に迫るテニュア脱落率が波紋を起こすと、「テニュア審査の強化は、KAISTが世界の名門大学と競争するために避けられない選択だ」と説明した。

◆米国の大学がテニュア制度を取り入れた目的は、学問の自由を保護するためだった。教授という職業の安全性が保障されてこそ、社会的偏見や政府や大学当局の圧力に屈しないで真理を追求でき、不人気の専攻も保護できると信じたためだ。米国の大学では概ね、助教授がテニュアの審査を受けるため、助教授の研究室は電気が消えることはない。その過程がどれほど大変かは、「テニュア審査をパスして見ると、妻が逃げていない」というジョークが生まれるほどだ。テニュア教授は、それだけ認められ、尊敬される。

◆しかし、テニュアが徐々にもろ刃の剣となっている。教授たちが、テニュアを得て気が緩むのか、競争力が落ちるためだ。西欧の大学では、これに対する解決策は大きく2つある。第一に、テニュア審査をもっと強化することだ。テニュア審査時の研究実績や講義記録、大学と社会に対する貢献だけでなく、同僚教授と学生の評価まで反映する。第二に、テニュア制度をなくしてしまうことだ。80年代、英国のサッチャー政府が、大学改革措置の一つとしてテニュアを縮小して以来、このような流れは欧州で広がっている。

◆KAISTの「テニュア・ショック」が、今年はソウル大学を強打した。2学期の正教授昇進対象者(副教授)81人と副教授昇進対象者(助教授)63人の計144人のうち33.3%の48人が、強化された審査基準によって学部審査で脱落したり、申請自体をあきらめたという。今回、昇進審査をパスして副教授になった47人のうち3人は、優れた研究業績で早期にテニュアを獲得した。テニュアが厳しく管理される大学だけが、世界の名門大学として認められるということをソウル大学が見せてもらいたい。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com