米国政府が金融危機の打開に向け、史上最大規模の救済金融に踏み切ったことにより、世界の金融市場が安定気味に転じた。金融地震の「1次衝撃波」が過ぎ去ったわけだ。しかし、流動性不足に追い込まれたグローバル金融会社が今後、資金の引き揚げに乗り出すと、世界各国の証券市場には繰り返し余震が続く見通しだと、内外の金融専門家らは分析している。
実体経済へのショックも、米国から欧州、中国、日本などへと広がり始めた。輸出依存度が高い韓国経済に対する本格的な挑戦が現実味を帯びつつある。
1929年の大恐慌以後最悪と受け止められている今回の危機が本格的に始ったという意味だ。住宅価格の下落などから端を発した景気減速の前例から見て、早くても1年、大体2〜3年は回復期間が必要だと、経済専門家らは予想している。
韓国金融研究院の金ジョンハン研究委員は21日、「リーマン・ブラザーズ事態とグローバル金融衝撃」という報告書で、「国際通貨基金(IMF)が推定した世界金融会社の損失は約1兆ウォンだが、現在まで処理された損失額は5000億ドルぐらいで、『追加的な措置』が取られるだろう」と分析した。
金研究委員は、米国の住宅価格が10%ぐらいさらに下落するという米不動産市場の一般的な予想を紹介した上、「大手金融会社らが困難に直面する度に、韓国を含めた新興市場で先を争って株式、債券などの資産を整理する可能性がある」と警告した。
米国から始った実体経済の衝撃はもっと脅威的だ。7月中の物価上昇を反映した米国人の実質消費支出は前の四半期より0.4%減少し、04年6月以後、最も低水準を示した。失業率も8月に6.1%と、前月(5.7%)より急騰した。
サブプライム・モーゲージのリスクを予想していたニューヨーク大学のヌリエル・ルビニー教授は、「米国で12〜18ヵ月間にわたって最悪の不景気が続くだろう」と暗い見通しを示した。
欧州、日本など他の国の実体経済の萎縮は、来年から本格化するものと見られる。
KOTRAが世界25ヵ国国に進出している韓国企業を対象に調査してまとめた「米金融危機による主要国輸出市場の緊急点検」の報告書によると、早ければ来年から主要国市場の消費と投資の萎縮に拍車がかかるものと予想された。
中国の主要都市では不動産価格が暴落し、住宅を売っても貸付金が返せないというケースが増えている。
今回の金融危機が長引く可能性が高いだけに、専門家らは口を揃えて、個人、企業、政府といった韓国の全ての経済主体は十分な備えに乗り出さなければならないと指摘した。






