最近の内閣改造で続投が決まった姜萬洙（カン・マンス）企画財政部長官が、八方塞の状況に陥っている。
為替をはじめとした経済政策失敗の責任を取り、崔重卿（チェ・ジュンギョン）次官が「代わりに更迭」されたという認識が広がり、姜長官への世論が芳しくない中、野党はもとより与党の中でも、姜長官の続投を巡って、批判が持ち上がっている。
●民主党、「代理更迭なんてあるまじきこと」
民主党は、姜長官に対する解任要求案を、来週国会に提出する予定だ。
丁世均（チョン・セギュン）代表は９日、ソウル永登浦区堂山洞（ヨンドゥンポグ・タンサンドン）の党事務所で開かれた最高委員会議で、「企画財政部長官に対しては国民の要求を受け入れ、解任要求案を提出するつもりだ」と明らかにした。
丁代表は、「内閣改造を行ったものの、その内容があまりにもひどい」と述べ、「姜長官は為替政策を誤った失策があり、経済政策の方向も誤り、経済困難に陥れた失策があるにも関わらず、そのかわりに次官を更迭させることなんてあるまじきことだ」と声を荒げた。
宋永吉（ソン・ヨンギル）最高委員は、「姜長官への更迭要求は、政治攻勢ではなく、市場の信頼を獲得するためのものだ」と口ぞえした。
民主党は、米国産牛肉の輸入問題を巡って、対立が続いている政局の主導権を引き続き維持するためにも、姜長官の解任要求案を与党への攻勢の一つとして、活用する可能性が高い。
長官の解任要求案は、国会在籍議員３分の１以上（１００議席）の発議を受けて、在籍過半数の賛成で可決される。８１議席の民主党は自力では解任要求案を提出することができず、自由先進党（１８議席）と民主労働党（５議席）、創造韓国党（２議席）などと協力する計画だ。
先進党は、「姜長官が辞任すべきだということに異論の余地はないものの、姜長官一人のみ退陣させるのは本末転倒であり、誤った内閣改造を追認する結果をもたらしかねず無意味だ。首相を含めた全面的な内閣改造を行うべきだ」という方針で、民主党との調整結果が注目される。
●ハンナラ党の中でも否定的な雰囲気が多く
ハンナラ党は、公式的には解任要求案の提出を政治攻勢として、規定しているものの、姜長官を積極的に擁護しようとする議員がなかなか見当たらない。
趙允旋（チョ・ユンソン）スポークスマンは、「姜長官を更迭しても、今の厳しい経済状況が解決されるわけではないことは、みな周知のことだ」とした上で、「過ちがあれば、それへの代案を示すのが、最大野党としての役目だが、反対だけ続けている。いまこそ、不適切な政治攻勢は中止すべきだ」と要求した。
しかし、孔星鎭（コン・ソンジン）最高委員は同日、あるラジオ番組で、「（姜長官の続投は）国民の立場では理解に苦しむことだ」と批判した。孔委員は、「政策の方向が、最初は『７４７』（年平均７％の成長、１０年後の１人あたりの国民所得は４万ドル、世界７大の経済大国）を目標として掲げてきたが、最近になって国民生活のための物価安定へと変わった。このような現状に見合う責任者を任命すべきだが、それができず残念でならない」と話した。
ハンナラ党では、姜長官の続投が牛肉騒動に次ぐ、政局混乱の火種になるのではないかという懸念の声が少なくない。
慶尚道（キョンサンド）地域のある再選議員は、「姜長官はすでに財界から信頼を失っており、交替されるべきだった」と述べ、首都圏のある再選議員は、「大統領は、なぜこのようなやり方の人事しかできないのか、理解に苦しむ」と首をかしげた。
このような空気を読んだ洪準杓（ホン・ジュンピョ）院内代表は同日、姜長官が出席した幹部レベルの政府与党会議で、「（国会が開かれれば）企画財政部長官は叱られる用意をしたほうがよいでしょう」と意味ありげな話をした。
もちろん、解任要求案が国会に正式に上程されれば、ハンナラ党は党の意見として反対する方針を決めるものと見られるが、姜長官の続投に気を悪くしたハンナラ党の議員らの気持ちまでは変えられないだろうというのが、党内の多くの見方だ。
民主党がハンナラ党議員らを一人一人説得すれば、無記名投票の解任要求案の採決で、勝ち目があると見るのもこのためだ。
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