経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)の結果が発表され、世界各国が大きな関心を寄せている。60ヵ国あまりの15歳の青少年を対象にした同調査を見ると、20年先のその国のあり方が垣間見える。PISAが、リーディング、数学、科学力を評価し、国のランク付けを行うが、読み取り能力が発表項目の一番先に設定されている。文章を正確かつ速く理解する読み取り能力をもっとも重要な学力指標として見ているからなのだろうか。
◆米国の教育改革ビジョンである「1人の生徒も落ちこぼれないように」という指針は、同国のすべての生徒の読み取りと数学の実力を一段階アップさせることを目標にしている。ここでも読み取りが一番先になっている。先進国が読み取り能力を重視する理由は、読み取り能力が不足すればほかの勉強ができないと考えるからだ。たくさん読めば読むほど、頭脳活動が盛んになり、思考力、批判力が大きくなる。そのため、読み取り能力は知識社会と自由民主主義のためにも不可欠のものだ。
◆短時間では簡単に身に付けることのできない読み取り能力を高めるためには、読書を生活習慣として定着させるに限る。ところが、映像文化の氾濫で活字媒体の肩身が狭くなっているのが現状だ。とりわけ、ネットの利用率の高い韓国では、活字離れの傾向がさらに際立つ。幼いときから新聞に馴染ませるようにするのも効果的な対応策だ。教育当局が先頭に立って新聞を読むように呼びかける必要がある。ところが、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の教育人的資源部はむしろ、子ども新聞の団体購読を禁じていた。
◆全国教職員労働組合が「新聞社と学校の間に寄付金の授受がある」と禁止を要求すると、教育人的資源部がそれを受け入れたのだ。リベートを禁じれば済む問題だったのに、過剰規制を行ったのだ。子ども新聞を発行する主要新聞社が盧政権に批判的な新聞だったという点も禁止決定に影響した。最近、韓国小学校校長協議会が子ども新聞の団体購読を学校の自律に任せてほしいと教育科学技術部に要請した。校長の98%、父母の96%が「団体購読に賛成する」という調査結果も提示された。これまで「新聞離れ」していた生徒たちの被害については誰が責任を負うのか、教育当局の説明がなされるべきだ。そして、子どもたちが新聞を手軽に見れるように「正常化」を急がなければならない。
洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com






