学校の体育館でのテコンドー実習とは別に行われる、月1回の精神教育は節度あるものだった。子供たちは指示に従って、「立て」「座れ」を繰り返していた。「チャリョ(気をつけ)」という韓国語の号令で10秒間、瞳さえ動かさない注意力集中教育も難なくすませた。
次は礼儀教育。「教室に入ったら何をしますか」という質問には「先生にちゃんとお辞儀をし、先生の話をよく聞きます」という児童の答えが返ってきた。
テコンドーの5つの精神のひとつである「尊敬」の例を聞かれた児童は、「いつも年上の人の話をよく聞き、礼儀正しくふるまう」と大人びた答えを言い、大きな拍手を受けた。
精神教育が終わり、テコンドーの授業を担当する金師範が教室を出ると、児童たちは申し合わせたかのように一斉に起立し、韓国語で「カムサハムニダ」と叫んだ。多くの児童たちは廊下ですれ違う取材陣に礼儀正しくお辞儀をした。「アンニョンハセヨ」とあいさつをする子供もいる。
パトリックボーウィー小学校の児童たちの態度は、昨年の初めまではかなり違っていた。教室内はいつも騒がしく、教師たちは子供たちの統制ができず、授業に困難を感じていた。注意力に欠ける児童たちも多かった上、校内暴力も多く発生していた。
移民家庭の子供が多いこの学校では、ヒスパニック系が半分を占めている。市教育庁の統計によると、この学校の在校生に占める低所得層の割合は80%に達する。
ところが、昨年の秋学期にテコンドーを正式の体育科目に採用してから、子供たちの態度に変化があらわれた。
4年生を受けもつ女教師のヴィヴィアン・アイカルリンさんは「宿題を提出する子供は75%しかいなかったが、テコンドーを習い始めてから100%になった。これは奇跡だ」と驚きを隠さない。
校長のサミュエル・カーリーンさんも「子供たちがテコンドーの授業で規律と節度を学ぶようになってから、学校に驚くべき変化があらわれている。テコンドーが成績向上に効果があると判断するにはまだ早いが、いい結果を期待している」と話す。
現在、この小学校ではテコンドーは正式の体育科目であるため、成績もつけられる。
テコンドーの師範たちは、テコンドーの技術はもちろん、絶え間なく自己コントロールと礼儀の重要性を強調する。これとともに、宿題をきちんとする、机はきれいに片付けるなど、「基本」を強調する。
4年生のジェイコブ君は、「以前は家に帰ると弟たちとけんかしたりしたけど、テコンドーを習うようになってからは正しくふるまい、弟たちとも仲良くしようとしている」と話す。
同じく4年生のルイス君も「今は宿題を済ませないと問題になるということを知っている。いつもテコンドー精神を守ろうとしている」と話す。
パトリック・ボーウィー小学校の変化は、マサチューセッツ州一帯でも大きな話題を呼んだ。テコンドーを習うようになってから子供たちが変わったといううわさが、保護者や教師たちの間で広がり、体育科目にテコンドーを導入してほしいという学校が急増している。
最近、パトリックボーウィー小学校を訪問し、テコンドーがもたらした変化を自ら確認したデヴァル・パトリック・マサチューセッツ州知事も、州政府教育部にテコンドープログラムの拡大を指示した。
スプリングフィールドとチコポー一帯の公立小学校26校でテコンドーを教えている金師範は、「テコンドーを教える師範が足りないため、すべての要請に応じられない状態だ。今順番待ちになっている学校が30校以上ある」と話す。
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