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[オピニオン]生きている英雄

Posted November. 10, 2007 07:50,   

植民地や戦争、成長や独裁の時代を生きながら、独立運動や親日、左派や右派、独裁や民主化運動が激しく対立した国で、みんなが共感する偉人伝を書くことは容易なことではない。生存している人物なら、なおさらそうだ。しかし、ポスコの朴泰俊(バク・テジュン)名誉会長(80)は例外的な存在だ。学者や文人たちが我先に評伝を出している。1997年、在米韓国人経営学者が米国で始めて出したのにつづき、2004年には小説家の李デファン氏が、『世界最高の鉄鋼人』を書いた。最近は『太白山脈』作家である趙廷來(チョ・ジョンレ)氏が、偉人伝として発行した。

◆8日、朴会長の80歳の誕生日パーティーで、趙氏は、「現存の人物であるにもかかわらず、朴会長を、安重根(アン・ジュングン)、韓龍雲(ハン・ヨンウン)、金九(キム・グ)、申采浩(シン・チェホ)と同様のレベルに上げ、偉人伝を書くようになった。朴会長は過去の人生にも過ちはなかったが、今後も浮気さえしなければないだろう(笑い)という確信ができたためだ」と語った。『太白山脈』作家である趙氏は、進歩系の作家と分類される。朴会長は保守や進歩両方から高い評価を受けているわけだ。先日の誕生日パーティーには、大統領選挙に出馬した与野党の候補たちも一緒に出席し、「偉大なる企業家精神」をたたえた。

◆ポスコの始まりはみすぼらしかったが、最後は壮大なものだった。1968年4月、朴正熙(バク・ジョンヒ)大統領の意思に沿って、39人でスタートし、世界超一流の企業として成長した。朴会長は中国の頳小平が「もっとも輸入したい海外人物だ」とほしがるほどだった。植民地時代に生まれ、戦争や貧困を経験した朴会長は、軍人や企業家、政治家という3つの職を経てきたが、政治は彼に汚辱だけを残した。しかし、それが鉄鋼人としての朴泰俊の神話に傷をつけることはできない。

◆60年代の経済開発開始以来、朴氏のような企業家たちが黙々と汗を流したおかげで、韓国は世界ベスト10という経済大国へと跳躍した。大統領選挙に出馬した一人の候補は、「経済のみ再生すればいいと言われているが、国家の基盤が揺らげば、経済もうまくいくはずがない」と話した。しかし、経済の脆弱な国は、国家安保を支えることすらできない。生きている英雄の人生を目にしながら、華やかな言葉遊びよりは心なる指導者としての道を肝に銘じてほしい。

許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com