今年、国の財政赤字の規模は13兆6000億ウォンと、通貨危機直後の1999年以後、8年ぶりに最高値に達する見通しだ。財政の管理対象収支は現政権に入って、2003年に1兆ウォンの黒字を出しただけで、2004年以後、毎年赤字幅が拡大し、今年までの累積赤字は35兆ウォンを超えるものと見られる。
来年の予算は今年より7〜8%増えて、増加率は最近6年で最高が予想される。現政権は「大きな政府」と批判されるたびに、「責任のある政府を目指す」と主張してきた。その一方で、支出拡大と公務員増員をする上で、国民の視線を意識しなくなって久しい。政府は任期の残り半年間、公務員をさらに1000人増やす。現政権に入って、これまで増えた公務員の数だけで4万1000人だ。鉄道庁の公社化で身分のみ変わった人員まで勘案すれば、実際は7万1000人の増。公務員が増えれば、行政規制も増える。二重三重の負担だ。ここにばら撒き福祉、現実性の乏しい均衡発展に税金を投じてきたせいで、金大中(キム・デジュン)政権末期に133兆ウォンだった国の債務は、今年末には301兆ウォンを超える見通しだ。
金遣いの荒い政府が、大統領選挙が近づくと、来年、税金を減免する税制改正案を打ち出した。所得税の課税標準(課標)の調整そのものに非を唱えるつもりはない。経済規模が拡大し、物価も上がって、1996年7000人だった最高税率(35%)の適用対象者が2005年に5万人を超えたのに、課標を12年間調整しなかったため、事実上、税金をさらに多く取り立ててきたわけだ。中小企業の家業引き継ぎの際、相続税の控除限度を拡大したのも妥当である。しかし、任期初期にやるべきだった課標の調整を先送りにしつつ、より多くの税金の取り立てることに熱を入れてきたのに、「大統領選挙直前に」次期政権が徴収する税金を一部免除する格好だ。課標調整の計画はないと言っていた政府が、いきなり調整に転じたことから、選挙ねらいという指摘も避けられない。
しかも、先進国のように公務員の数を減らして、不要な予算を縮小するなど、支出構造にはメスを入れないまま、一部課標区間の所得税を少し引いてあげるといっても、国民の税負担が全体的に軽くなるはずはない。国の財政規模が拡大すれば、税目が何であれ、結局、国民の懐からまた取られるに決まっている。ただでさえ赤字だらけの国の財政はさらに悪化する以外にない。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権はこのような悪循環を次の政権にまで引き伸ばそうとしている。






