ギリシャの哲学者ディオゲネスは、「どこの出身か」と聞かれると、「私は世界市民だ」と答えた。ディオゲネスは「人類は一つ」という意味の「世界市民」という用語を初めて使った人として知られている。イタリアの思想家のマキアベリは、「大国を作りたければ、外国人に門戸を開いて、彼らが安全で楽に暮らせる環境を作ることだ」と述べた。冷酷な現実主義者だった彼は、世界市民主義からではなく「強国作り」に力点を置いてそのように助言したのだろう。
◆近代にも「世界の市民」は、ロマンチックな哲学者の理想論程度に受け止められてきた。知識人の社会でこの言葉が再び登場したのは、グローバリゼーションブームが巻き起こった最近のことだ。経済的なグローバリゼーションだけでなく、すべての異邦人を包容する人間愛のグローバリゼーションも共に実現しなければならないという覚醒のためだ。グローバリゼーションの反作用で、一部の地域ではかえって民族主義のハードルが高くなっているため、世界市民主義がさらに切実に求められるという主張もある。
◆韓国はグローバリゼーションの恩恵を受けた国家だ。1960年代の高度成長は「小さなグローバリゼーション」のおかげである。世界経済の50%を占めていた米国は自国内の賃金の急上昇で安価な海外労働力を探していた。1位の候補は南米だったが、カストロの共産革命のせいで左傾化の風が吹き荒れていたため諦めざるをえなかった。冷戦時代だったため、中国とソ連も除外された。アフリカと中東も宗教と文化の違いから対象から外された。残ったのは、韓国や台湾をはじめ、いくつかのアジア国家だけだった。私たちが産業化を成し遂げられたのには、このような運が作用した。
◆21世紀に入って、グローバリゼーションはさらに急ピッチで進んでいるが、私たちのグローバリゼーションに対する認識は低い。東亜(トンア)日報の付設の化汀(ファジョン)平和財団21世紀平和研究所が参加した中で、世界39カ国を対象に実施された「2005〜2007年世界価値観調査」によると、韓国の人種的閉鎖性は世界5位、世界市民意識は17位だった。しかし、悲観的なわけではない。昔から「懐が豊かであれば礼儀をわきまえる」という言葉がある。国内に居住している外国人に対する我々の認識が急速によくなっているように、経済的な余裕とともに世界市民意識も高くなるだろうと信じている。
洪賛植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com






