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[オピニオン]時間外手当てに眼がくらみ

Posted May. 30, 2007 03:06,   

ソウルのある区役所の状況室の横には、勤務時間を記録する指紋認識機が設置されている。庁舍ビルから灯りの消えた真夜中に、どこからか区役所の職員たちが1、2人と姿を現し、指紋認識機に親指を当てて帰る。家族が車の中で待っている間に指紋認識機に退社時間を記録し、すぐに車に乗って帰る人もいる。一部は普段着にスリッパを履いていた。区役所に散歩にでも来たような格好だ。最近、YTNカメラに撮影されたS区役所の公務員たちの時間外勤務を水増しする現場の姿だ。

◆区役所は、午後6時以降に勤務もせずに代理署名で時間外手当てを得る慣行が絶えないことから、退社時間を徹底的に管理するため、2月に指紋認識機を設置した。良心のない人の前では先端装備も意味はない。夜に、ひどい場合は休日にもこのようなみっともない姿を見ることができる。S区役所が5級以下の職員1100人余りに支給した時間外手当ては毎月約4億5000万ウォンで、1人当り40万ウォン。住民のための奉仕が本分である区役所の公務員たちが、時間外手当てを多くもらおうと、真夜中に盗人のように行動している。

◆一部の公務員は時間外手当てを「目のくらんだお金」「賃金補填手当て」程度に考えている。国のお金を横領しても罪の意識ところか、恥知らずの公務員が少なくない。昨年5月に監査院が23の地方自治体で摘発した時間外手当ての横領額が952億ウォンにも達した。京畿道水原市(キョンギド・スウォンシ)の公務員らは全職員の勤務時間を5年間「午前8時出勤、午後11時退社」に偽証し、時間外手当て333億ウォンを横領して、1月に摘発された。

◆S区役所や水原市役所だけではなく、公職社会全般の問題だ。時間外手当ての横領は公務員社会の病となって久しいが、これが絶えないのは税金泥棒に対する軽い処罰も主な原因だ。333億ウォンを横領した水原市の場合、主な責任者3人が罰俸1ヵ月の処分を受けたのが懲戒のすべてだ。これでは公務員が税金を盗むことを恐れるはずかない。この政府はいつも改革を唱えているにもかかわらず、一体何を改革したのか疑問だ。

権順沢(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com