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香水、その中には人生の香りが漂っている

香水、その中には人生の香りが漂っている

Posted February. 04, 2005 22:51,   

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ジャンポールゲランはフランス・パリ出身だ。彼の家が代々にわたって香水を作ってきたため、小さいころから自然にあらゆる花と精油の香りとともに育った。

ジャンポールが15歳の時のことだ。彼はコニャックで有名なエネシー卿に招待されたが、小さかったためぜんぜん飲めなかった。しかし、香りだけで一番価値のあるコニャックをあてた。会場にいた人々は「さすが、香水屋の息子だ」と感心した。

彼は長男ではなかったため、家業を継ぐことは考えられなかった。ある日、黄水仙の精油がなくなり、彼の祖父は大きく落胆していた。ジャンポールはいくつかの花の精油と合成原料を混ぜて黄水仙と全く同じ香りを作った。祖父は大変驚き、ジャンポールの父親に電話をし、「うちの家業を継ぐ子はジャンポールだ」と話した。

もともと音楽家は複数の音を混ぜて和音をつくり、調香師は自然の香りを混ぜて香水をつくる。そのため、調香師は香りの音楽家とも言える。彼は乗馬を楽しんでいた。その影響もあって、馬の筋肉の匂いと革の匂いで「アビルージュ」を作った。また、将来妻となる女性に出会い、春の花の香りに蜜柑とジャスミンの香りを混ぜて「シャンダローム」を作った。

「べチバー」を作った時の話した。親友に新しい香水の評価を依頼した。何日か後、親友が大変怒った表情でジャンポールを訪ねてきた。ジャンポールは「何か問題でもあったのか」と聞いた。友達はこういった。「私が好きな女性がこの香りを知っていた。この香水をつけているのは今のところ、あなたと私しかいないのに彼女がこの香りを知っていることはどういうことだ」と話した。2人は愛を捨て、友情を選択した。二兎を得ようとした女性だけが突然両方からふられた結果となってしまった。

ジャンポールは年を取ってからも遠くまで旅行に出るのが好きだった。彼は「良い香りは世界各地にある。四季に従って新鮮な材料を探すために世界各地を訪ねる旅行は楽しい」と話した。

新鮮な香りを探すため、ネパールを何度も訪問し、オレンジの精油をもとめてラクダに乗ってチュニジアを横切ったりもした。結局、香料を探す旅と霊感を探す旅が一致していた。チュニジアの円形競技場で見た剣闘士の幻影でまた新しい香水を作った。「プチゲラン」にはシチリア島の滄海の香りや霊感が込められている。

彼は02年65歳で引退した後も会社の顧問を勤め、原料の管理に特別力を入れた。これは自分自身で早くから約束したことでもあった。自伝のこの本で彼は「いままで経験したことと感情で作った幸福の錬金術を伝え、香水が喜びと光の根源になる世界を人々に伝えたい。これが私の希望でもある」と語った。

久々に花と人の香りであふれる本と接することができた。各種の人生の香りを体験してみたい人々に是非一読をお勧めしたい。

原題は『LesRoute de mes parfums』(02年)



劉潤鐘 gustav@donga.com