昨年10月26日、北朝鮮の金容淳(キム・ヨンスン)労働党対南担当書記が、交通事故の後遺症で死亡した際、「政府レベルで弔意表明をする」という意見が少なくなかったが、受け入れられなかった。
丁世鉉(チョン・セヒョン)統一部長官が翌日、ある民間団体のフォーラムで、「本当に遺憾であり、個人的に弔意を表する」と短く言及したのが全てだった。賢明な対応だった。
◆対南担当書記というのは、北朝鮮の対韓国戦略を総括する地位だ。宣伝、扇動はもとより、南派スパイも管轄する。金容淳個人に対しては、こちらでも個人レベルで言うことができる。故人が南北関係改善に一定の役割を果たしたのだから、無理なことではない。長年会談すれば、互いに情も生じるものだ。だからといって「朝鮮労働党対南担当書記・金容淳」に「大韓民国」政府が弔意を表することはできない。それは、正統性に関わる問題だ。北朝鮮側も韓国側公職者の死に弔意を表したことはない。
◆このような原則は、金大中(キム・デジュン)政権でも守られた。朴智元(パク・チウォン)元大統領書記室長の回顧だ。「00年6月の首脳会談の日程まで決まったが、北朝鮮側が錦繍山(クムスサン)記念宮殿に安置された故金日成(キム・イルソン)主席を参拝することを求めた。金正日(キム・ジョンイル)総書記に会って何とか了解を得たが、心配は静まらなかった。宿所の百花園(ペクファウォン)迎賓館から出て、車で左折すればすぐ錦繍山記念宮殿だ。北朝鮮側がその気になれば、微動もできず宮殿中に入るしかなかった。幸い北朝鮮側は約束を守ったが、この問題で悶着があったため、首脳会談が一日遅れて開かれた。
◆金主席死亡10周忌(7月4日)を控えて、政府は弔問目的の訪朝は容認しないことを明らかにした。問題は、弔問ではない目的で訪朝する場合だ。「弔問行事に出席しない」という覚書を書いたとしても、訪朝者にいちいち付いて回ることはできず、確認は初めから不可能だ。結局、訪朝者が自ら気をつけるしかない。北朝鮮側の勧誘があっても、誘いに乗ってはいけない。軽率な行動で、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が発足してやっと進展を見せ始めた南北関係に、妨害を与えてはいけない。ただでさえ、韓国は今、韓米関係を含め微妙な安保環境の中に置かれているのだから。
李載昊(イ・ジェホ)論説委員leejaeho@donga.com






