「イラクは1年前、米国の切迫した脅威だった。戦争の結果我々は皆、より安全な世界で暮らせるようになった」
ライス米ホワイトハウス安保補佐官は14日、NBC放送に出演し、イラク戦争の成果をこのように評価した。ラムズフェルド国防長官も同日、CBS放送に出演して、「イラク戦争を敢行したことは正しい決定であり、テロとの戦いが完遂されたことに満足する」と話した。
米政府の主張のように、果たしてテロが根絶され、世の中はより安全になったのだろうか。少なくとも米国だけを見ると、もはや驚異的なテロはない。しかし1年を振り返れば、二重三重の安全網を敷く米国と違って、世界は本格的なテロの恐怖に包まれている。
一部では、「米国民が感じた同時多発テロの惨憺たる苦痛を今度は世界が分け持っている」と指摘している。
▲暴力的な外交術策と化したテロ〓ブッシュ米大統領が終戦を宣言(03年5月1日)した直後の昨年5月13日。パウエル米国務長官のサウジアラビア訪問の前日に、首都リヤド内の外国人居住地域で連続爆破が発生した。4回の爆破で29人が死亡したこのテロは、イラク戦争が「国際テロ戦」に飛び火したことを示す信号弾だった。
3日後には、モロッコでテロの攻撃が続いた。同盟国の結束を弱め、世界の反戦世論を煽るためのテロが、国境のない戦線を形成したのだ。昨年11月20日、トルコ・イスタンブールの英領事館爆弾テロは、英国を訪問中のブッシュ大統領がブレア首相に会う前に起こった。英国の反戦ムードはこのテロで最高潮に達した。
「欧州の同時多発テロ」と呼ばれる今回のスペイン・マドリードの列車爆破テロは、テロが国際・国内政治を操る段階にまで発展したことを見せつけた。総選(3月14日)を3日後に控えて起こったこの大型テロは、票心を反戦に急旋回させ政権交代をもたらした。
▲テロ訓練所となったイラク〓不安な治安状況にまぎれ、イラクはテロ組職の訓練場、または実験場に変わった。同盟国に対する抵抗の手段だけでなく、種族対立による内戦レベルのテロも頻発している。軍人でない民間人を狙ったテロが増加したのはこのためだ。テロの「需要」が急増するやいなや、外部から傭兵が入り込んでいる。
韓国イスラム文化研究所の李元三(イ・ウォンサム)所長は、「スンニ派、シーア派、クルド族などは、今他の政派や種族から解放を奪い取る絶好の機会と考えている」とし、「テロが止まない理由の一つがまさにこれだ」と話した。
▲テロの終息、果たして可能か〓「オサマ・ビンラディンを逮捕しても、第2、第3のビンラディンが現われ続けるだろう」。米中央情報局(CIA)のテネット長官は今月9日、議会証言でテロ作戦の難しさをこのように吐露した。テネット長官は、テロ組職が、モロッコ、ケニア、トルコ、ヨルダン、サウジアラビア、クウェート、アフガニスタン、パキスタン、インドネシアなどに組職を拡大しているとつけ加えた。
問題は米国の一方主義とテロが比例関係にあるという点だ。シャシ・タルーア国連事務次長は、外交専門誌フォーリン・アフェアーズの03年9、10月号で、「テロは米国一国の力では決して解決できない」とし、多国間主義(Multilateralism)による解決を強調した。
金東元 daviskim@donga.com






