イタリアのジェノアに住む13歳の少年マルコが、アルゼンチンに出稼ぎに行った母を訪ねる波瀾万丈の物語を描いた、アミチス原作の『母を訪ねて3千里』は、先の半世紀の間、世界中の子どもや大人たちが涙した名作。ジュネーブからブエノスアイレスへ。再びコルドバを経てトゥクマンへと、母を訪ねて行く少年の苦難に満ちた旅は、学校まで歩いて5分だというのに、それすら車で通いたがる現代の子どもたちには想像もできないことだ。
◆旧正月の22日午前、京畿道安陽市(キョンギド・アンヤンシ)在住の金君兄弟(13、11歳)は、数日前、量販店で衣類と食料品を盗もうとして捕まり、ソウル南部警察署に拘束されている父親に面会するため家を出た。両親の離婚後、兄弟は父親と一緒に暮らしていた。ほぼ3日間何も食べられなかった兄弟は、氷点下16、7度の寒さの中、道行く人に尋ねては、およそ12キロもの道を歩いて警察署に着いたものの、すでに父親はその前日、永登浦(ヨンドゥンポ)拘置所に移された後だったため、面会は叶わなかった。警察署の幹部から渡された5000ウォンでバスに乗り家路についた兄弟は、帰路、お菓子を食べて飢えを凌ぎ、ガスも水道も出ない家で旧正月の夜を過ごした。
◆釜山(ブサン)に住む朴君兄弟(7、2歳)もまた、20代の夫婦に委託養子されたが、虐待を受けた末、隣人の通報で救出された。兄弟は、実の両親が家庭問題で離婚したため、昨年の11月に釜山家庭依託センターに預けられた。生活苦に悩んでいた委託養父母は、政府から毎月53万ウォンの養育支援金が受けられると聞き、2人の兄弟を養子に迎えた。兄弟は、里親が旧正月を迎え帰省する際、電気炊飯器にご飯だけを残したまま暖房を切ってしまったため、2泊3日の間、寒さに震えなければならなかった。
◆裕福な家庭では、旧正月の連休期間に、親戚や訪問客から100万ウォンを超えるお年玉をもらった子どももいるという。金君兄弟や朴君兄弟は、何故これほど寒く、悲しいお正月を迎えなければならなかったのだろうか。いわゆる、国民所得2万ドルを目標にしている経済協力開発機構(OECD)加盟国で『母を訪ねて3千里』の旅に出る子どもたちが発生する理由はなぜだろうか。社会の責任を問う前に、誰もが自分の胸に手を当て、周りを見まわす必要があるだろう。
呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com






