総選挙政局に改憲論がゆらゆらと立ちのぼっている。火元はむろんハンナラ党だ。崔秉烈(チェ・ビョンリョル)代表に続き、26日にはハンナラ党内の元祖改憲論者である洪思徳(ホン・サドク)院内総務まで加勢した。洪総務は、崔代表が提起した分権型改憲論を「適切だ」と評価し、「民主党、自民連と協力して、改憲を推進する」と一歩進んだ。
▲ハンナラ党の両王手〓ハンナラ党が火種となった改憲論は、総選挙戦略という側面のほかに、総選挙後の政局主導権まで握ろうという長期戦略が背景にあるようだ。
当初ハンナラ党は、民主党とヨルリン・ウリ党の分党で「2与1野」の楽な選挙構図を描いていた。しかし、鄭東泳(チョン・ドンヨン)体制の登場でウリ党が上昇気流に乗り、総選挙局面を攻勢に切り替えなければならない必要性を痛感したようだ。
洪総務の説得にも動じなかった崔代表が、改憲では点火の全面に出たのもこのためだ。また、改憲論を媒介に、民主党と自民連を「反盧」戦線に深く引き入れることで、ウリ党包囲構図を作るという意図もある。
もとよりハンナラ党の改憲論には、さらなる伏線が敷かれている。今のままの盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領では困るという雰囲気だ。洪総務は、「盧大統領が国をこのまま率いるのを放っておけないという認識が広く拡散している。一部の権限を制限してでも、国がしっかりと立て直さなければならない」と強調した。
このため、改憲論は盧大統領に拒否感を持っている70%の民心に向けたメッセージでもある。「盧大統領の任期は保証するが、権力は野党3党の協力勢力が行使する」という意味だ。
▲野党の協力は可能か〓改憲論の最大友軍でなければならない民主党の立場整理は終わっていない。民主党はこれまで「政権の半分を取り戻す」と叫んできたが、その「半分」はハンナラ党式の「分権型改憲」ではなく「責任首相制」を意味した。
多くの重鎮議員が改憲に賛成してはいるものの、趙舜衡(チョ・スンヒョン)代表は「今は改憲を話す時ではない」という考えだ。「ハンナラ・民主」連携の逆風も負担だ。このため、盧大統領の不法大統領選挙資金と改憲問題を結び付けるというアイディアも出ている。民主党の姜雲太(カン・ウンテ)事務総長は、「盧大統領側の不法大統領選挙資金がハンナラ党の10分の1を上回れば、与党から先に改憲問題を持ち出すこともあり得る」と予想した。
▲改憲論の前提と展望〓ハンナラ党の改憲論は、憲政史上初めて現職大統領の権限と任期を野党が決定するという「宣戦布告」であるという点で、総選挙後の政局は波乱含みの展開を予告している。
改憲が現実化するためには、ハンナラ党と民主党、自民連が、国会議席の3分の2以上を確保しなければならない。しかし、これはあくまでも改憲可能な議席を言ったのであり、世論がこれを支持するかどうかは予断し難い。だが、ハンナラ党が掲げた改憲論の「のろし」をめぐる一戦は、避けられない見通しだ。
尹永燦 李承憲 yyc11@donga.com ddr@donga.com






