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[オピニオン]唇亡びて歯寒し

Posted September. 13, 2003 23:16,   

中国春秋時代の末期、晋がカクと虞に侵攻しようとした。晋はまず虞に提案した。「カクを攻めるために領内の通過を許可すれば、多くの贈り物を与える」と。すると丈夫の宮之奇が虞公を諌めてこう言った。「唇亡びて歯寒しという言葉があります。カクが唇ならわが国は歯なのです。カクが滅びれば、虞も滅びるでしょう」。しかし贈り物に目がくらんだ虞公は、晋の提案を受け入れた。結局、虞はカクが亡びた後に晋の侵略を受けた。『脣亡歯寒』という故事成語が生れた由来である。

◆『脣亡歯寒』は、北朝鮮と中国の関係を説明する時にもたびたび引用される。カクと虞の例のように、北朝鮮と中国も一方が亡びれば、もう一方が完全ではないという意味で、この言葉が使われたのだろう。北朝鮮体制が崩壊して、米国の影響力が北朝鮮と中国の国境に及ぶことは、冷戦時代の中国には最悪のシナリオだった。中国が朝鮮戦争の時、100万の大軍で北朝鮮を助けたことも、90年代以降毎年北朝鮮にエネルギーと食糧を支援していることも、北朝鮮が中国にとって「盾」になってくれたからだ。

◆しかし、最近、「唇」と「歯」の関係が以前のようではないという言葉が聞かれる。「社会主義兄弟国家」の関係にすき間ができたのには、様々な理由があるだろう。米中関係が目に見えてよくなったというのが第一の理由だ。先日、パウエル米国務長官が「(米中関係は)1972年のニクソン元大統領の初めての中国訪問以来最もよい」と述べた程である。中国は、経済成長の持続と2008年オリンピックの成功のためにも、米国の協力が切実だ。また、中朝関係に変化をもたらす要因としては、韓中関係の飛躍的な発展も排除できない。中国にとって、北朝鮮が上唇なら、韓国は下唇となった。中国はもはや上唇がなくても寒くなくなった(脣亡歯不寒)のではないか。

◆冷戦時代、国家間の関係を牛耳ったイデオロギーはもはや光を失っている。国際政治舞台で国家はただ国益に従って動く。そのような点で、胡錦涛・国家首席を始めとする中国の4世代指導者が実用主義的という評価を聞くようになったのは当然のことだ。実用主義の観点でみると、北朝鮮は中国にとって徐々に負担な存在になっているだけだ。90年代以降「苦難の行軍」を経た北朝鮮が、まだこのような現実を悟ることができないようで残念だ。北朝鮮が本当に頼る相手は韓国である。北朝鮮が自分勝手に掲げる「民族共助」ではなく、本当の意味の「民族共助」が必要な時だ。

宋文弘(ソン・ムンホン)論説委員songmh@donga.com