米国中心の覇権外交の基本枠を事実上掌握しているライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)とロシア外交の影の実力者であるプリマコフ元首相。
2人の実力者が、同時多発テロ後の国際秩序の変化をめぐって、プライドをかけた熾烈な誌上論争を繰り広げた。
ライス補佐官が米国主導の一方的な世界秩序を擁護したのに対し、プリマコフ元首相は、多極化した国際秩序を主張し、立場の相違を露わにした。
二人が激突した舞台は、ロシア紙イズベスチヤと米国の国際専門誌フォーリン・アフェアーズが共同で発行する季刊外交専門誌「国際関係におけるロシア(Russia in Global affairs)」最新号。来月発表される彼らの寄稿文をイズベスチヤ紙が事前に紹介した。
▲多極化論理は大国間の競争をあおるだけ〓ライス補佐官は、「多極化は競争の論理」というタイトルの寄稿文で、「現在の一極国際秩序は、大国の統合努力の結果だ」とし、擁護論を説いた。17世紀に民族国家が形成され始めて以来続いてきた大国間の反目とかっ藤を乗り越えたのが、米国中心の一極秩序ということだ。
ライス補佐官は、現国際秩序を米国、欧州などの自由を擁護する「民主志向同盟」が、「自分の意志を強要する悪の勢力」と対立している構図だと概念化した。「自由の敵」に対抗して、共通の理解と価値を持った大国たちが統合することが、局地紛争を阻止する近道であるという主張だ。
ライス補佐官は、ドイツのシュレーダー首相の言葉まで引用して、「(国際社会は)自由、平和、正義を志向するただ一つの極に単一化されなければならない」と主張した。さらに「多極化論理は、大国の競争をあおる」として「歴史的に、多極化した国際秩序が、世界平和をもたらしたことはない」と声を高めた。
▲一方的な国際秩序は世界平和を保障できない〓一方、プリマコフ元首相は、「超大国のない世界」というタイトルの寄稿文で、「米国主導の一方的な国際秩序が、世界に安定を与えることができずにいる」と反論した。アフガニスタンやイラクにおける米国の一方的な行動が、この地域に安定をもたらすことができず、テロとの戦いを成功させることもできなかったという事実がこれを立証しているというわけだ。
彼は「同時多発テロ後、国際秩序に2つのモデルが登場した」とし、「国連を基盤に国際社会が共同で脅威に対処し、安定のために努力しようとする流れがあった一方、一方的な決定と行動で国連憲章だけでなく多くの国家の意見に逆らう動きもあった」と米国を直接非難した。
また「多極化は各勢力の絶え間ないかっ藤を意味せず、一方的な国際秩序が紛争を終わらせるのでもない」として、「冷戦後、世界は多極化構造に発展している」と主張した。欧州が経済共同体から出発し、政治、軍事的統合まで果たし、新たに「力の中心」に浮上したことが、代表的な事例であり、今後、中国やロシアなどに力が分散するとしている。
金起顯 kimkihy@donga.com






