コロンビアで行われている「麻薬との戦い」の任務遂行中に死亡したアレクサンダー・ロス氏は軍人ではなく、米国の民間軍事企業「ディンコープ(DynCorp)」社の職員だ。彼の家族が会社から聞いた唯一の説明は、「事故の経緯は米国務省が調査中だ」というだけ。
今年の初め、さらに民間軍事企業の職員3人が死亡した。国務省は1997年以降、軍事作戦と関連して米国の民間人14人が死亡したことを明らかにした。しかし、ロス氏(パナマ出身)のような外国人の死亡者は十分に知らされていない。
冷戦の終えん後、軍縮の世論が起ったが、事実上、各地の局地戦に投入される軍事人力の需要は減らなかった。英紙ファイナンシャル・タイムズは、「死者が出ても、米軍が被害を受けることに比べて政治的負担が少なく、米軍を配置する時とは違って、議会と世論の監視を受けないなどの理由から、米政府が軍事業務を民間企業にアウトソーシングする事例が増えている」と12日付で報じた。
米国防省は、コソボ地域の非武装治安業務をディンコープに依頼して、数千人を募兵する必要を省いた。アフガニスタンのカブール市内の大統領官邸の警護員も軍人ではなくディンコープの職員だ。150人が派遣され治安を担当するが、デルタフォースなどの米軍の特殊部隊の出身が多い。
ロス氏が投入されたコロンビアの麻薬との戦いには、6社の米国民間企業が参加している。これらは、航空機によるコカイン栽培地域の監視などの仕事をする。
一時チェイニー副大統領が会長を務めたアリバートンの子会社KBRは、コソボ戦争当時、バルカン半島に駐留した米軍2万人の食事、飲料水、洗濯、郵便業務を独占した。キュービックは、今年のイラク戦争に参戦した米軍を訓練した。
民間軍事企業は、「直接銃を持って戦闘に臨むこと」を除くすべてを担当する。基地管理、募兵、軍事訓練、警護、ごみ、食糧、飲料水の管理、航空機とヘリコプターの維持・補修のほかにも、情報収集や戦略分析にまで領域が広がる。市場規模は約350億ドル。
しかし憂慮する声もある。
「戦争」と「戦闘」は、根本的に国家が独占する武力行為だが、戦争と関連した主要業務を利潤によって動き、議会の統制を受けない民間企業が担当することは、問題があるという主張だ。
ディンコープの一部職員が、バルカンで少女を人身売買して摘発された際、これを公開した内部告発者は解雇され、犯罪当事者は国外に逃亡したことでうやむやになった。また、職員が辞表を出して逃げてしまい、軍事業務に支障を来たせば、これを軍法で処罰することができるのか、単に「会社を辞めること」なのかもあいまいだ。
彼らの安全問題も論争の種。自分を保護する武装を許すのか、また職員が業務遂行中に敵につかまった場合、ジュネーブ協定上の戦争捕虜の地位を認めるのかなども明確でない。
金承眞 sarafina@donga.com






