大統領府の秘書官や行政官ら11人が家族同伴で消防ヘリに搭乗し、セマングム防潮堤の建設現場を視察した事件は、大統領府がいかに「公職マインド」に欠けているかを象徴的に見せている。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が、ナラ総合金融事件で起訴された安熙正(アン・ヒジョン)氏を、プライベートに呼び寄せて労ったことも、その範疇から大きく逸れていない。
国民の税金で運用される消防ヘリに、どうやって公職者の家族が搭乗できたのか、公私のわきまえもできない大統領府職員たちの無頓着さに驚かされるばかりだ。まるで旅行でもするかのごとくに家族を同伴したことも問題だが、セマングムの推進計画に関する報告まで一緒に受けたというから、これを見た人々は大統領府をどう思ったことだろう。マスコミの取材が始まるまで大統領府が内緒にしていたことも、政権の正直さと関連して批判されて同然だろう。大統領府は、このように隠したいことが多い故に、マスコミを敵対視するのではないかと問いたいものだ。
盧大統領が安氏を大統領府に呼び寄せたことも同じこと。いくら側近とは言え、裁判に係留中の人を大統領が直々に会ってねぎらったことは、誤解の余地が多い。参謀たちに「ヒジョン氏をよろしく」と念を押したというから、このように大統領すら公私の区分ができないのに、その下の職員たちに「公職マインド」を期待するのは難しいと言えるだろう。
新政権発足から4ヵ月足らずではあるが、その間大統領府の緩んだ綱紀は、度々問題化されてきた。先月は、盧大統領の訪米中、貨物連帯の運送拒否状況を把握するため大統領自ら電話をかけたものの、大統領府の当直が眠っていたために電話が通じなかった、というハプニングもあった。先日は、大統領府所属のカメラマンが、国家機密とされている国家情報院幹部の顔が写っている写真をインターネット新聞に提供、波紋を呼んだこともある。国政の指令塔である大統領府がこのありさまでは、いくら公職の綱紀を唱えても、法令が効かないはずだ。
政府側は、厳しくすべき時に厳しくできない生半可な「脱権威主義」と、大統領府の参謀に起用されたアマチュアたちの同好会意識が今のような状況を招いたのではないかと、冷静に反省して対策を講じるべきだ。






