10年余り前、世界的なポップスター「ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック」の来韓公演で、10代のファンらが公演会場で泣き叫び、奇声をあげて熱狂した。当時の朝刊の早版の締め切りは午後6時で、公演は午後7時半に始まった。この日一部の新聞は朝刊で「1万の青少年が踊って奇声」という見出で女子高校生の公演観覧の所感まで報じた。作文記事の典型だ。訪韓予定の米大統領がまだ太平洋上空にいたり、北朝鮮代表団が板門店を通過していない時間に、「ソウル到着」の記事を事前に書いて印刷にまわす慣行が通用した時代もあった。危険千万な記事作法だ。
◆新聞記事は現場の臨場感が命だ。事件の関係者が言った言葉、現場の雰囲気の描写などは記事の生動感を高めてくれる。記者はコメントを得て、スケッチするために時間と争って現場に駆けつけなければならない。事件現場に到着しても、目撃者や被害者を捜し出すことが容易でないこともある。そうすると作文の誘惑にかられる。世界で最も権威のある新聞、米紙ニューヨーク・タイムズでジェイソン・ブレア記者(27)が作文記事を日常とし、他の新聞に載った記事を手当たり次第に盗んでいたことが明るみになり、二ューヨーク・タイムズ紙が「152年来の大恥辱」を経験している。
◆進歩的立場のニューヨーク・タイムズ紙で保守論客で知られるウィリアム・サファイア氏の「大恥辱」というコラムが印象的だ。サファイア氏は「権威あるニューヨーク・タイムズ、正確性の世界的な典型、記録の新聞、どのマスコミよりピューリッツァ賞をたくさん受けた新聞が数年間狡猾な人間によって騙されていた」と書いた。「私は30年間ニューヨーク・タイムズ紙で仕事をし、国防問題でハト派、経済問題で左派的な社説に、同意できないときは決して黙っていなかった。ニューヨーク・タイムズ紙は保守論客にも公平な紙面を割いた。記事が左派偏向に流れる時は、保守主義者らが内外で声を出し、ニュースを正した。だからニューヨーク・タイムズ紙の人々は不道徳な今回の報道行為に憤る」
◆時空間の制約に追われると、新聞も間違いを犯し得る。しかし、その過ちを自ら公開して読者に謝罪することは易しくない。ニューヨーク・タイムズ紙の電子版には、ブレア記者の記事に対する調査内容が詳細に掲載されている。「自分へのチェックは健康の道であり、自己修正は勝利者への道だが、自我陶酔は明らかに敗者になる」とニューヨーク・タイムズ紙は強調する。韓国マスコミもニューヨーク・タイムズ紙の恥辱から教訓を得なければならない。
黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com






