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[オピニオン]億万長者のオプラ

Posted March. 04, 2003 22:26,   

20年前、ある太った黒人女性が、シカゴの朝のテレビ番組、「AMシカゴ」の司会者になりたいと思って、オーディションを受けにきた。ライバル番組は、最高の視聴率をあげていたハンサム白人男のフィル・ドナヒューのトークショーだ。以前の職場では、ヘアスタイルから名前まで、完全に変えなければ成功しないと言われ、自信をなくしていた。「私は黒人だから、変えることはできません。太っていることもちょっとしか変えることはできないわ」。その言葉にテレビ局の専務だったデニス・スワンソンが答えた。「分かります。あなたは人々を結びつける才能があります。あなたを変えようと思わずに、そのままのあなた自身でいてください」

◆その女性がまさに、黒人女性ではじめてフォーブス誌が選ぶ億万長者になったオプラ・ウインフリーだ。「AMシカゴ」は、放送して一カ月でその時間帯の視聴率1位になり、1年足らずでタイトルまで「オプラ・ウインフリー・ショー」に変わった。オプラがブッククラブコーナーで読む価値があると選んだ本はたちまちベストセラーになり、このショーで取り上げられれば、社会的関心事になるということから、「オプライゼーション(Oprahization)」という単語も生まれた。以前オプラが尊敬したドノヒューはしばらく放送から離れ、過去の名声を背に戻ってきたが視聴率が悪く、先週MSNBCから追われた状態だ。

◆米国内の視聴者だけでも2200万人、世界104カ国で放送されるトークショーの女王、雑誌やケーブルテレビ、インターネットまで扱う株式会社の会長、自分自身がブランドであり金でもあるオプラのメッセージは、20年前彼女の一生を決定づけた言葉そのままだ。あなたの人生に責任をとる人は、あなた自身であるということ。もちろん人生の成功いかんが完全に個人にかかっているという「オプライズム(Oprahism)」に対して批判的な見方もなくはない。機会はあちこちにあるので努力さえすれば誰でも成功することができるという「アメリカンドリーム」を合理化して、社会的矛盾を隠ぺいし、女性と少数民族に対する制度的差別を巧みに隠すという指摘もある。

◆しかし、私生児として生まれ、9歳でいとこに暴行され、思春期にはおじに性的いやがらせを受けて、やけくそになって生きてきたというオプラだ。過去の傷を忘れられず、現在を、そして自らを虐待するには、人生はあまりにも尊いということを悟ったのは、彼女が放送で同じ経験をした女性に会った36歳の時だった。時には実の母親のように、時にはカウンセラーのように、出演者と視聴者を感動させることができるのも、このような個人的な痛みを経験して立ち上がったことが大きい。誰にも限界はある。世の中が巨大な壁のように感じられる時もある。その時はオプラが希望となればいい。億万長者までは望まなくとも。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com