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[オピニオン]バラ戦争

Posted December. 13, 2002 22:43,   

バラは「花の女王」と呼ばれるほど人々に愛されている。人類は紀元前約2000年前からバラを栽培してきたと推定されている。古代のバビロニア、エジプト、ギリシャをはじめ中国でもバラが栽培されたという記録が壁画などを通じて確認された。初めは野生のバラを香料やハーブとして使い始めたのが、次第に観賞用として栽培するようになったという。ローマ時代には上流階級の装飾花として人気を集めた。エジプトの女王クレオパトラは恋人だったローマの将軍アントニウスのために、宮殿の床を数多くのバラで飾ったという。多分「燃える恋」、または「情熱」という花ことばを持つ赤いバラではなかったかと思う。

◆中世時代のヨーロッパの王家や貴族階級には家柄を象徴する紋章にバラの模様がよく使われた。英国では15世紀にバラ模様を紋章にしていた貴族が王位継承権をめぐって30年間戦争を続けた。歴史家はこれは「バラ戦争」と呼ぶ。赤いバラのランカスター家と白いバラのヨーク家の間で行われたこの戦争は、ランカスター家の勝利で終わった。だが、戦争を勝利に導いたヘンリー・チューダはヨーク家の女性と結婚し、予め王位継承権の紛争に終止符をつけた。バラ同士の戦争でどこが勝利したと言い難くなったのだ。

◆ドイツと韓国間で6年間にわたる「バラ戦争」が最近、事実上終結した。最高裁判所は12日、ドイツの育種会社であるコルテス社が、韓国の花卉協会を相手取って起こした訴訟で、コルテス社の勝訴判決をくだした原審を覆し、事件を特許裁判所に差し戻したという。コルテス社が開発した赤いバラの品種である「レッド・サンドラ」の商品権をめぐる紛争で、韓国の花卉業者が勝利を収めたのだ。韓国の花卉業者はコルテス社がレッド・サンドラの 商品権を韓国に登録させる11年前からこの品種を栽培し、すでにバラ品種の一般的な名称として使われているため、この品種に対する無制限の商品権を認め難いというのが判決の趣旨だ。

◆韓国のバラ輸出は1997年度の10万ドル台から昨年は1000万ドル規模に急増した。その主な品種が外国で開発されたものである。レッド・サンドラも一役買っていることはもちろんだ。レッド・サンドラは市場で流通するバラの中でも断然トップを占める人気品目。もし、この裁判で敗訴していたら、韓国の花卉業者は大きな打撃を受けたことだろう。だが、問題はこれからだ。知的財産権に対する保護が強化されていく中で、バラも例外ではない。私たちが直接開発した品種が多くないとすれば、国際市場のバラ戦争で勝者になることは困難だ。

文明豪(ムン・ミョンホ)論説委員 munmh97@donga.com