野党ハンナラ党がさらに暴露した盗聴関連資料には、権力の幕の裏で、与党の大物らの間で行なわれた陰湿な請託や取り引きに関する内容が多く含まれている。盗聴そのものも重大な不法行為であるが、盗聴資料で明るみになった不当な人事請託や捜査介入が事実であるなら、見過ごすことはできない。
当時、大統領府特別補佐役であった朴智元(パク・チウォン)大統領秘書室長が、李載侁侁(イ・ジェシン)民政首席秘書官に「金大中(キム・デジュン)大統領が、李守東(イ・スドン)前アジア太平洋財団常任理事が不拘束の状態で取り調べを受けることを希望している」と伝えると、李首席が「車正一(チャ・ジョンイル)特検と接触を試みている」と言ったという内容もそうだ。電話の会話内容が事実なら、これは大統領府秘書室が、大統領の指示で特検捜査に介入しようとしたことを示す重大な証拠である。与党議員らが、大統領秘書室長や首席秘書官や長官に、知人を公企業の役員に就職させるよう依頼する会話内容が事実である場合、この政権が発足して以来、話題が絶えなかった公企業人事の乱脈ぶりの根源を物語るものといえる。
電話を受けた者は認めるが、盗聴資料に言及された与党議員や公職者は、そのような電話をかけた覚えがないと一様に否認している。しかし、どちらが真実であれ、明らかにすることは難しくない。電話であれ携帯電話であれ、通話記録コンピュータに通話した相手と時間が秒単位で記録されている。通話内容はうそで言いつくろえても、電話をかけなかったという主張の真偽はすぐに明らかになる。
辛建(シン・コン)国情院長は、私設業者の盗聴可能性をあげているが、それが事実なら大変なことである。国家機関でもない私設チームが、大統領首席秘書官や国会議長、長官、国会議員らの通話内容を無作為に盗聴したなら、国家安保に大きな穴があいているということだ。そのようなことが起こるまで、国情院は一体何をしていたのだろうか。
検察はこの事件を単純な名誉き損告訴事件に縮小捜査してはならない。検察は政治工作の匂いがする今回の事件を徹底的に捜査して、電話ひとつ安心してかけられない盗聴の恐怖から国民を自由にしなければならない。






