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高収入の道捨てて基礎科学研究の医師 国はバックアップしないのか

高収入の道捨てて基礎科学研究の医師 国はバックアップしないのか

Posted November. 01, 2002 23:00,   

「高級車を乗りまわす同年代の医師たちを目にすると焦りもありますが、夫がもっと立派なことをしてくれるものと信じています」

98年、高麗(コリョ)大学医学部を卒業した金賢洙(キム・ヒョンス、35)氏が、浦港(ポハン)工科大学の生命科学科に入り「基礎科学」を勉強すると言い出した時、一番心配した人は、夫人の閔順善(ミン・スンソン、34)さんだった。生活費も心配だが、夫の性格からみて、その勉強がほぼ求道並みの苦行になるに違いないと考えたからだ。実際、昨年9月に修・博士統合課程の大学院に「学生」として入学して以来、夫は実験室でほとんど毎日「夜明かし」をしているのだ。

医科大学卒業時の金氏の成績は、140人の同期生のうち13番目。この中で生化学のような「基礎」分野に進んだのは、金氏を入れて2人だけだった。他はみな内科、形成外科、産婦人科、耳鼻咽喉科など、臨床分野に進んだ。成績だけでみると、金氏は「優遇される」医師の道を進むことができた。しかし金氏はチャレンジする道を選んだ。

「1年間実験に打ち込んでみて、自分自身が大きく成長したことを感じます。医科大学では実験不足だったのですが、ここでは世界と競いながら心ゆくまで実験に打ち込むことができます。基礎科学の重要性を肌で実感しています。細胞信号伝達分野は、韓国も世界的に競争力を備えています。何時どこで、突然画期的な研究結果が出るかも知れないと、緊張の毎日です」

金氏は、大学が提供した15坪のアパートに住んでいる。夫人と18ヵ月の娘はソウル暮らし。毎月実験室から受け取っている生活費は55万ウォン程度。それも大学から与えられる月給ではなく、研究費を削った「非定期的な収入」に過ぎない。金氏は、友人たちが「年収1億ウォンもらっている」と聞くと、うらやましく思うよりは「基礎科学の劣悪な現実」がもどかしいと話していた。

金氏は現在、細胞を構成する無数の物質がどのような過程を経て、信号をやり取りするのかを究明する研究に取組んでいる。

金氏は「経済的な理由で、基礎科学に関心を持つ医科大学生までもが臨床の方に追いやられる現状は、国家的にもマイナスになる」として「医科大学生の10%は、基礎分野に進めるようなバックアップがあってこそノーベル賞も期待できるはず」と語った。



boriam@donga.com