
ジャズに「皇帝」があると言うと、失笑を買う結果になるかも知れない。数多くの星で輝くジャズの世界がすでに一つの「銀河」を形成しているところで、その中で第一人者を選ぶことは「歴史上最高の映画監督」を選ぶようにむずかしいことだからだ。
それでも、現在、現役のジャズ界の「皇帝」にトランペット奏者のウィントン・マーサリス(写真)を挙げても、すぐに異議を唱える人は多くなさそうだ。単に技量と活躍ぶりが飛びぬけているからだけではなく、数え切れないほどの研究と錬磨を通じて正統ジャズの系譜を引き継いでいるからだ。
94、98年と4年置きにソウルに寄っているこの「ジャズ界のすい星」が、3度目にソウルの聴衆の前に立つ。彼が組織したジャズバンド「リンカーンセンター・ジャズオーケストラ」と共に、98年に続いて2度目となる舞台だ(23日、午後7時半、芸術の殿堂コンサートホール)。
61年、ジャズの故郷ニューオーリンズで生まれたマーサリスは、多面の顔を持っているアーティストだ。クラシックファンたちには、ハイドン、フンメルなどのトランペット協奏曲演奏でなじんだ現役のクラシック・トランペッターの1人者だ。彼の音楽体験もやはりクラシックとジャズの二方面にまたがっている。青少年期に地元のジャズバンドとパンクバンドなどで多彩な演奏経験を積み、18歳の時、ジュリーアード音楽大学に入学し、堅実な音楽理論を学んだ。
マーサリスは、音盤でデビューした81年にアルバム「ウィントン・マサルリス」を発表し、ビルボードチャートのトップ10に39週もランクされ大ブレークを果たした。彼はディスコ熱風が巻き起こる中でも伝統が失われていくジャズ界の危機を懸念し、正統ジャズの流れを研究して復活させた。半世紀の間、クラシック音楽界が独占してきたピューリッツァ賞音楽部門の光栄を97年に握ったのも、彼の貢献が認められたからだ。
ジャズコラムニストのソン・ギワン氏は「マサルシルジャズの胎動期にまでさかのぼる『タイムとラベル』を通じて、温かくボリューム感のあるサウンドを得ることができたし、自身がジャズの歴史の真ん中に立っているんだといわんばかりの自信あふれる演奏を聞かせてくれる」と評価した。
彼が「米国切ってのジャズバンド」であるリンカーンセンター・ジャズオーケストラを率いていることも、やはりジャズの「系譜」を受け継ぐに相応しいアーティストであることを物語る。「現代文化の首都」ニューヨークの市民から絶大な支持を受けているこのバンドのために、ニューヨク市はマンハッタンに1億ドル(約1200億ウォン)を投じて2800坪規模のジャズセンター「フレデリック・ローズホール」を建てている。
今回の公演でも、ルイ・アームストロング、デューク・エリントン、ジョーン・コルトレーンなど、ジャズの歴史を網羅する名曲が期待できそうだ。2万〜8万ウォン。02—580—1300。
劉潤鐘 gustav@donga.com





