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[オピニオン]EUの東進

Posted October. 10, 2002 22:41,   

以前に比べてヨーロッパ旅行の楽しみが減った。両替に関する変化がそれ。欧州連合(EU)が単一通貨のユーロを導入するまでは、ヨーロッパ各国を旅する楽しさは両替をすることから始まっていた。フランスのフラン、ドイツのマルク、イタリアのリラ…。空港で各国の紙幣とコインを手にした瞬間、外国に着いたことを実感しながら軽い興奮を覚えた人も少なくなかったはず。あの頃は、各国の通貨に刻まれた偉人を見ながら歴史を振り返る「知的な旅」ができたかと思えば、外国の通貨とウォン(韓国の通貨)の為替レートを比較しながら、旅行費節約のための「算術」も身に付けなければならなかった。EUの15カ国のうち12カ国がユーロを使っている今では、便利であるというメリットはあるものの、もはやヨーロッパは異邦人に対して、両替にまつわる楽しみを味わわせてはくれない。

◆先週、パリで会ったフランス政府の役人、大学教授、経済専門家たちは口をそろえて、ユーロの導入に成功したと評していた。彼らは、周辺国との競争力強化を図るための通貨切り下げができなくなったために、ヨーロッパ経済が非常に安定したということを、最大の成果として挙げた。政治、外交的な側面から見れば、同じ通貨を使うことでヨーロッパ人が共有できるようになった「心理的な平和」の意味が大きいとみる者が多かった。侵略と支配という闘争の歴史をもつヨーロッパ人が、米国のブッシュ政権が進めているイラクとの戦争にあれほど反対した理由が分かるような気がした。フランスの外相は「かつてヨーロッパは、米国の言いなりだったが、今では違う」とまで話している。

◆そのEUが、およそ1年後には25カ国の加盟国をもつ巨大組織になる見込みだ。先日、EUの執行委員会が、東欧と地中海沿岸の10カ国と年内をメドに加盟に向けた交渉を終了させ、2004年1月から加盟国として受け入れるという内容の勧告案を採択したのだ。EUが、西ヨーロッパの共同体であるという狭い意味から、欧州大陸全体にまたがる世界最大の政治ブロックになるというわけだ。現在、EU加盟国の中ではイギリスなど3カ国がユーロを使用していないが、ユーロの採択は時流であることから、ユーロゾーンも自動的に拡大される見通しだ。

◆順調に進んでいる経済統合とは違って、政治統合に対するヨーロッパ人の見方は懐疑的。フランスの指導者たちは「これ以上の統合はジレンマに陥っている」としている。国内ですら政治離れやアンティ政治の傾向が目立っているところへ、欧州レベルの政治統合を語る余裕があるだろうかと問い返す者も多かった。たとえヨーロッパが、外交と軍事分野においても足並みを揃える「欧州合衆国」となる日はまだまだ遠い先のように見えるかもしれないが、経済的にはローマ帝国の復活がすぐそこまで迫っていることだけは確かだ。私たちの対応策が急がれる。

パリ=方炯南(パン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com