▲韓国の技術力に対する評価〓米オーチスが99年末、LG産電のエレベーター部門の買収に乗り出した際、従業員の間ではオーチスが韓国の研究センターを閉鎖するという噂で持ちきりだった。
米国、ドイツ、スペイン、日本の4カ国に研究開発(R&D)センターを設けていたオーチスはこれらセンターで開発された技術を世界各地の現地法人に供給する仕組みをとっていた。したがって、韓国R&Dセンターを閉鎖すれば年間数十億ウォンのコストを低減することができる。オーチスは買収寸前に「韓国の技術が世界で通じるはずがない」という内容が盛り込まれている内部報告書をまとめた。
しかし、オーチスは買収の直後、組織の整備を進める過程で、研究センターに蓄積されている技術のレベルが意外に優れていることに気づき、結局韓国の研究センターを維持するという決定を下した。
その後、LGオーチスは、安全事故を防ぐドアシステム、エレベーターの振動を減らして乗り心地を高めるガイドルーラーなど、さまざまな先端技術を開発し、米国、欧州などへ輸出している。
LGオーチスR&D研究センター所長の徐(ソ)ジョンホ常務は、「オーチスは昨年11月、韓国R&Dセンターを世界5番目のグローバルR&Dセンターに指定し、毎年100億ウォンの研究開発費を支援している」と説明した。
▲技術開発プロセスの先進化〓スウェーデンのボルボは98年7月、三星(サムスン)重工業の機械事業部門を買収し、ボルボ建設機械コリアを設立した以降、R&Dセンターの業務プロセスの改善に取り組んだ。技術開発の必要性を数段階に渡って徹底的に検討することで、R&Dが必ず会社の収益につながるようにしたもの。
研究所は技術開発に乗り出す前に、その妥当性を検討する報告書を提出し、本社経営陣から技術開発の承認を受けなければならない。プロジェクトがスタートしてからは細部の開発計画報告書を作り、今度は本社理事会の承認を受ける。
また、試作品が完成すれば、世界各地のボルボ現地法人のマーケティング、アフターサービスなど分野別サービスのアドバイスを受ける。さらに、量産する前は再び本社理事会の最終承認が要る。このため意思決定のプロセスは以前と比べて2、3ヵ月が伸びるこのになったものの、金につながる技術のみ開発できるようになった。
同社のチン・ジョンオン、R&Dセンター理事は、「以前は研究所と経営陣の即興的な判断を追って、市場と生産現場を考慮しない技術が開発されたため、会社の利益に何のプラスにもならず捨てられるケースもしばしばあった」と話した。
▲本社の研究所を韓国へ移転〓ハニウェルは宇宙航空、自動車、ビルなどの自動制御装置部門の世界最大手企業。同社は「韓国には高級な頭脳が豊富なうえ、R&Dのインフラが良く整備されている」とし、今年1月未にミネアポリスにあったR&Dセンターを韓国に移転した。
同社の李スンシン専務は、「韓国の高級研究員の給料は年3万5000〜4万ドルと、米国や欧州の70%水準だ。人件費が安くても、製品開発能力は先進国に比較して劣らない」と述べた。情報技術(IT)のインフラがよく整備されているうえ、大学や研究機関の質的水準が高いのも、ハニウェルがR&Dセンターを韓国へ移転した重要な要因となった。
問題は、「多国籍企業のR&Dセンター移転の最終目的先が韓国」とは、決して自信できないところにある。
モトロラコリアのチョン・ガプグン専務は、「多国籍企業が韓国へR&Dセンターを移転したら、さらに賃金が割安の中国へ移転できないわけがない。技術力の面で全体的な優位を保つために、政府と民間レベルの絶え間ない努力が求められる」と述べた。
申致泳 金昌源 higgledy@donga.com changkim@donga.com






