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ヒディンク監督手記<3>

Posted July. 03, 2002 21:41,   

今年初めの北中米ゴールドカップ大会のとき、多くの人たちが私を非難した。しかしゴールドカップは、選手たち自らの力量を証明してみせるべき時期だった。ある選手は自分の力量を証明することに成功したし、ある選手は失敗した。またゴールドカップのときは、海外で活躍している韓国選手たちが、まだ代表に合流していなかった。実際、韓国チームのプレーはそんなにひどいものではなかったが、良い成績を収めることはできなかった。韓国選手たちが、相手チームを効率よく攻撃するだけの力量やパワーに欠けていたからだ。

私は、健全な批判は受け入れる。私は、選手たちを指導する方式について、違う考えを持っている人たちのコメントも歓迎する。民主主義国家で言論が健全な批判を行うのは、あまりにも自然なことだ。しかし、時にはありもしないことを作り出してチームの分裂をはかる記事が載るときは、実に腹が立った。たとえば、私がドクター李とけんかをしたとか、いう類の記事だ。私は、その記事を書いた記者に「来て、事実だということを証明してみろ」と言ったが、その記者には二度と会うことがなかった。ドクター李は、今の私のもっとも親しい韓国人の友人の一人だ。

またワールドカップ開幕直前に、崔龍洙(チェ・ヨンス)が私のチーム運営方式に不満を抱き、練習を拒否しているという記事もあった。私は、その記者に「あなたは記者なんかじゃない。今後私の会見には入ってくるな」と言ってやった。しかし、言い過ぎたような気がして、翌日には謝った。でも、いったい、どうしてそのような類の記事が載るのだろうか。崔龍洙は、負傷でベンチメンバーだったが、チームが勝利するたびに、誰よりも先にグラウンドに駆け出して喜んでいた。重要な大会を前にして、皆さんのチームを自ら分裂させようとする思惑を、今でも理解できない。

昨年、コンフェデレーションズカップで、フランスに0−5で敗れたあと、私はマスコミの激しい批判を予想した。当時、私はフランスの戦術を読み間違えていたからだ。フランスが2トップではなく1トップで臨んで来たため、中盤で数の劣勢を見せCKとFKを与え過ぎてしまった。私は、結果に責任を取り、これに対する批判を楽しむ。しかし、この問題についての記事はなかった。むしろ穏やか過ぎるくらいだった。

繰り返して言うけど、私は批判は受け入れる。しかしマスコミは、国民に多大な影響を与える。責任意識を持ってほしい。

ある人は、私の長期的な目標を理解できなかったようだ。私がベスト11を確定せず、選手たちをいろんなポジションに配置しながら、テストを続けると「いつまでテストばかり続けるつもりなのか」と非難をぶちまけた。しかし、いろんなポジションを消化した選手たちが、今回のW杯で大きな役割を果たしてくれた。

私は、昨年8月のチェコ戦で、またしても0−5で敗れたあと「強いチームとの対戦を続けなければならない」と強調した。弱体を相手に勝利を積み上げるのは、自分自身をあざむくことだ。強いチームと戦い続けてこそ、強いチームを相手に戦える能力が生まれる。しかし、多くの人たちは、これを理解しなかった。むしろ、選手たちが自信感を失うかも知れないとして批判した。

韓国チームは、W杯以降、当分はスランプに陥るだろう。世代交代のためだ。黄善洪(ファン・ソンホン)や洪明甫(ホン・ミョンボ)など年を取った選手たちが引退し、若い選手たちがその空白を埋めるまでには時間がかかるだろう。どの監督が赴任しても、十分な時間が与えられなければならない。若い選手たちが失敗をしても、愛情をもって見守ってやらなければならない。

選手選考についても非難が多かった。金秉址(キム・ビョンジ)にはつらい時間(hard time)を送らせたが、それには理由がある。私は、選手たちに個人の技術、チームの戦術、精神力を強調した。そのなかでも一番重要なのは精神力だ。いくら技術が優れていても、うぬぼれてチームプレーをダメにするのでは、代表選手としての資格はない。安貞煥(アン・ジョンファン)も同様だった。マスコミが、ときにはスター選手たちを過度に過大評価し、選手たちが伸びる機会を奪っている。安貞煥は、自らの間違いを直したし、今回のW杯で満足のいくプレーを見せてくれた。金秉址は、W杯直前、李雲在(イ・ウンジェ)よりコンディションが良くなかったためチャンスを与えられなかった。金秉址が李雲在より劣っているからではない。

李東国(イ・ドングク)や高宗秀(コ・ジョンス)など、何人かが(W杯代表)リストに入らなかったことに多くの人が失望したことも知っている。再三言うけど、私は最終エントリーを決めるまでに、選手たちを対象に多くのテストを実施した。そして、最後の瞬間、私は結局23人だけを選択しなければならなかった。もちろん27人や28人を選ぶことができるのならば、みんなエントリーに含まれただろう。しかし、代表チームのエントリは限られており、私はポジション別にバランスを合わせなければならない。私が、かりにストライカーを5人や6人を選抜したら、その分、エントリーのなかでMFやDFが少なくなることになる。チームの均衡が割れていまうのだ。それで李東国を外したのだ。李東国は、他の攻撃手たちとの競争で負けたのだ。高宗秀は、ちょっと違うケースだ。彼は負傷のため、体が試合ができるほどの状態ではなかった。

だからと言って、李東国の能力を過小評価しているのではない。私は、リストを発表する前日の夜、李東国に不可避な状況を直接伝えた。2006年のW杯で、彼を見ることができると嬉しい。

今年初めのゴールドカップのとき、東亜(トンア)日報の記者が、私に「この先4年もっと代表チームの監督を務めるとした場合、韓国サッカーをどのくらいまで持っていけるか」と質問したことがある。私は、「国際サッカー連盟(FIFA)ランキング10位」だと答えた。もっとも難しい時期だったが、韓国サッカーの能力を確信していたからだ。ひとつのチームをけん引する監督なら、ましてや、ひとつの国家を代表するチームの監督なら、遠い先を見越すことができなければならない。だから孤独になるかもしれない。韓国マスコミとサッカーファンも、今は、この点を理解してくれるだろう。新しい監督が赴任すれば、彼に時間を与えてやるべきだ。私は、それが真に韓国チームのためになる道だと考えている。



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