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リアルな戦闘シーン「ウィーワーソルジャーズ」

リアルな戦闘シーン「ウィーワーソルジャーズ」

Posted May. 03, 2002 09:05,   

「俺たちは兵士だった」

何ともストレートで粗悪なタイトルの付いた映画「ウィーワーソルジャーズ」(We Were Soldiers)は、単刀直入に生死が交差する戦闘の真っ只中に入り込む。舞台となった戦場は、米国とベトナム軍との間に行われた事実上最初の接戦と言われる、1965年ベトナム北部のイア・ドラン(死の谷)での戦闘。これをドキュメンタリー形式のカメラワークで繊細に描いたこの映画は、リアルな戦闘シーンがもたらす映画的興味を前面に打ち出しながら、反戦意識も薬味のように添えるといった、ハリウッド流戦争映画の流れを引き継いでいる。

ハーバード大学で政治学修士をとったハル・ムーア中佐(メル・ギブソン)は、指揮下の空輸部隊員396人を率いてベトナム戦場に行くことを命じられる。ムーアは「まだ支離滅裂だ」として訓練する時間を要求したが受け入れられず、結局イア・ドランに派遣され、同じ場所でフランス軍を壊滅させたニューエン将軍の率いるベトナム軍と対峙する。戦闘が激化するにつれて、経験の浅い兵士たちは右往左往の末、一人ふたりと倒れていく。これら兵士たちは、戦う目的や死んで行く理由も知らないまま「祖国のために死ぬことが誇らしい」と感じるだけだ。

このように「ウィーワーソルジャーズ」は、今年初めに封切られた「ブラックホークダウン」の延長線上にある。舞台がアフリカ・ソマリアの都心のど真ん中から、ベトナムのジャングルに変っただけで、功名心に目がくらんだ軍指導部による参戦と、それによる米軍兵士の死、ムーアの英雄的リーダーシップなどは、ニューヨークの同時多発テロ以来、メッセージを省こうとするハリウッドの戦争映画の流れに似ている。この映画は「地獄の黙示禄」「ディア・ハンター」など、ベトナム戦争を舞台にした映画が示した戦争の狂気などのメッセージを送るまでには至っていない。

映画は、ハンドヘルドカメラを使って、1時間半もの間、戦闘シーンを無味乾燥に描きながら、家族の辛い心境もアクセサリーのように織り交ぜている。ムーアが、砲兵部隊に敵の座標を知らせていた時、その妻は祖国から戦死の通知を受けた軍人の妻を慰めている。ムーア中佐の子どもが5人であることも、こうした家族愛を最大限引き上げるための仕掛けだ。

「ウィーワーソルジャーズ」の美徳は「ライアン一等兵を救え」以降本格化した、ハリウッド流戦闘シーン描写の頂点を極めたところにある。米軍兵士が、炸裂した砲弾で顔の半分に火傷を負うシーンや、M16小銃に剣を取り付け、ベトナム軍と生死をかけた白兵戦を繰り広げるシーンは、どんな戦争映画よりもリアルだ。

しかし、「ウィーワーソルジャーズ」は、戦闘に留まっているだけで、戦争に拡大するまでは至らない。死を目前に控えた兵士の恐怖は描いているものの、戦争の原因や根源的な恐怖を描くことはできなかった。「ブラックホークダウン」が、無敵の最先端ヘリコプターを墜落させていながら、米国が「ダウン」した原因を突き止められなかったのと同様、「ウィーワーソルジャーズ」も「イア・ドラン戦闘がどうだったのか」「兵士たちの死は何なのか」という疑問を解決するには及ばない。

イア・ドラン戦闘に従軍したジョーギャラウェイ記者と、実在人物のムーア中佐が共同執筆した「我々は、その時、若き兵士だった」(We Were Soldiers Once…And Young)が原作。「パールハーバー(真珠湾)」のシナリオを書いた、レンダル・ウォレスが監督した。15歳以上観覧可、3日封切り。



李承憲 ddr@donga.com