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[オピニオン]不正で染まった権力の落照

Posted January. 22, 2002 09:26,   

金大中(キム・デジュン)大統領は、野党時代に、公職者は富と貴のいずれかを選択しなければならない、とたびたび口にしていたが、現実とは程遠い話である。韓国で最も確実な富貴功名への道は、政界入りと国家試験の合格である。選挙という大変な戦闘で勝ちさえすれば、政治は国家試験よりも高速で走れる出世の道なのだ。

高位公職者の中には、官職を朝鮮時代の官位になぞって冗談を楽しむ者が多い。大統領首席秘書官は承旨で、長官は六曹の長官である。承旨が六曹の長官よりもいいという話は、現在でも通用する。大統領府がすべての権力を発し、長官も承旨の顔色をうかがわなければならないため、力の強い承旨へのコネ作りのための列は、長くなるばかりだ。

マスコミも、首相をしばしば宰相と呼ぶ。検察は王命に従い、国事犯を処罰した義禁府にたとえられたりもする。このような意識では、検察権の独立は期待できない。地方都市が大騒ぎする検察総長の出迎え準備を見ても、韓国は、官尊民卑や士農工商という封建的序列が、今だに維持されている社会である。

当選23回の米下院議員は、鋼鉄の股関節が金属探知機にひっかかり、下着姿でボディーチェックを受けても、最後まで身分を明かさなかった。仁川空港では、議員や長官を貴賓室で接待するため、このような非礼が発生する余地はない。

仁川空港の貴賓室利用者リストには、元高官らの名が少なからず連なっている。エコノミークラスの乗客たちと一緒に列に並んで、ボディーチェックや税関検査を受けるのが恥ずかしく、コネを使ってでも貴賓室を利用する人たちだ。彼らが貴賓室を利用する法的根拠は、どこにもないのだが・・・。

先進民主社会では、公職の道は、富でもなければ貴でもない。企業の最高経営者(CEO)になれば、年俸数十億ウォンを受け取る人たちが、少ない月給で長官の仕事をすることを国への奉仕と考える。よって国家試験には熱を上げない。

大学修学能力試験で、年々理系志望者が減少するのは、文系出身者への富貴功名のパイが大きいためだ。ソウル大学は、工学部の学生まで、専攻そっちのけで国家試験の準備をする巨大予備校と化している。このような文官をあがめる風土をなんとかしなければ、ノーベル物理学賞や化学賞受賞者が、現れることは望めない。

先日、一人の企業家から、金泳三(キム・ヨンサム)政権時代に検察に呼ばれ、全斗換(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領に賄ろを渡した疑いで、調べを受けた話を聞いた。

「お二方に何回お渡ししたか、正確には覚えていませんでしたね。検事が一人や二人じゃなかったですから。数十億ウォンにもなる金を渡しておきながら、分からないなんて通用するとでも思ってるのか、と問い詰められましたよ」

彼は、大統領が財閥グループ総帥に会って、統治資金の名目で金を受け取る慣行を断ったのは、金泳三前大統領が果たした業績だと評価した。歴代大統領が、大統領府を去る際、周囲に数億ウォンや数千万ウォンずつは与えても、数千億ウォンは手にして私邸に戻ったものだが、文民政府以降は、大統領に金を渡した企業家は、ないということだった。

しかし、首席秘書官らのせいで、「手打ちうどん」で象徴される大統領の勇断が、光を失ってしまった。大統領府暮しの首席秘書官は、いろいろな所から受け取って、政権が替わる度に、刑務所の入所と出所を繰り返した。金大中政権においては、公職者の査定を担当する秘書官が、調査対象の企業家から金を受け取っていたというから、首席秘書官のせいで大統領が被害を受けた面があるとは言い難くなった。

金泳三政権末期には、韓宝(ハンボ)台風が、政・官界を強打した。金大中政権の任期末には、富貴功名の座に上るために、血の出るような努力をした数名が、「富」を手にしたものの、次々に身を滅ぼしている。

政権を握れば、天下を得たように威勢のよかった人々が、政権5年目に差し掛かれば、パスポートと米国ビザを準備しておくのが、韓国型政権交替のむなしい風景だ。赤く燃え上がる落照は美しいが、権力の落照は、汚い不正スキャンダルで染みついている。

年明け早々、大統領選挙候補者の家は、年始あいさつに来た政治家でにぎわった。大統領選挙で勝利すれば、高級乗用車つきの数千もの職を戦利品として手にすることができるため、有力な候補にほど、富貴功名を狙う人達が、雲のように群がってくる。公職の道への認識が変わらなければ、政権5年目の悲劇は、次期政権においても続くしかない。

黄鎬澤(ファン・ホテク) 論説委員



hthwang@donga.com