
「神の都市(ニューヨーク)に巨大な雷が落ちるだろう。二人の兄弟(世界貿易センタービル)は混乱に陥り散り散りに裂かれ、要塞(米国)が苦しみを受けているうち偉大な指導者(ブッシュ大統領)は屈服、大きな都市が燃え盛る時、3回目の大戦争が始まるだろう」。
米国の同時多発テロ事件による大惨事の衝撃は、眠っていたノストラダムスまで揺り起こしてしまった。ネチズンたちは「的を射た予言」であると大騒ぎだが、出所不明の流言蜚語だ。前代未聞のテロ事態の原因と真相を冷静に判断するためには、中世の予言者の幽霊を呼び込むのではなく、テロリズムや米国の対外政策、国際政治力学関連の書物を読んでみるべきだろう。
▲テロリズム〓韓国内でテロリズムに関する学問的な研究はあまり行われていない。翻訳書を当ってもまともなものは皆無に近い。概論書としては、順天専門大の崔ジンテ外来教授が書いた「テロ、テロリスト&テロリズム」(ヨン文化社、1997年)がある。本書にはテロの類型と主要事件、各地域別テロリストの団体など基礎情報が盛り込まれている。
しかし本書は「宣伝、扇動」から「大量殺傷」に移り行くテロ・パラダイムの変化を捉え切れていない。
「灰色戦争(Gray War)」ともいわれる今回の米国同時多発テロのような「ニューテロリズム」の諸相を扱った外国書としては、米国防総省の支援も受ける米国の民間研究所、ランド(RAND)が発行した「ニューテロリズムへの対応(Countering the New Terrorism)」(イアン・O・レーサ他、RAND、1997年、韓国内未翻訳)が挙げられる。
ペリー元米国防長官が書いた「予防的防衛戦略」(プレス21、2000年)には米国領土内で常時「災害的テロ」が引き起こされる可能性について警告を促し、その対応策を示したが無用だった。
▲パックス・アメリカナ(Pax Americana)〓今回のテロ事件の震源地は、米国の覇権主義(パックス・アメリカナ)まで遡及する。災いを呼んだ米国の傲慢さをうまく表現している本は、ブレジンスキーの「巨大なチェス」(サムイン、2000年)だ。冷戦後の世界という将棋盤の上で、イスラムをはじめロシア、日本のような「駒」をいかに巧みに動かし米国の利益を極大化させるかを「指南」している。
しかし、現状からしてブレジンスキーの願いは期待外れに終ってしまった。米国は「飛車」「角行」を打ち進むように独りで飛ばし過ぎたあげく「歩」の一手に詰められた無様な格好となった。
米国の傍若無人な対外政策の危険性については、すでに多くの学者が警告を発している。中でも米国対外政策の「狙撃名手」としてノアム・チョムスキーを挙げることができる。チョムスキーはユダヤ人として一時イスラエルの建国運動にも参加しているが、米国のイスラエル中心の中東政策を辛辣に批判している。彼の著書「507年、征服は続く」(イフ、2000年)は、建前では自由と民主を叫びながら背後では搾取と紛争を助長する米国の「二つの顔を持つ歴史」を集大成した力作である。
上記の2冊が左右に傾倒したものである反面、国内の研究書である「21世紀米国の覇権と国際秩序」(オルム、2000年)はあくまでも冷静な視点を堅持する。論文集という固い形式にもかかわらず20人の国際政治学者が投げかけた「米国は21世紀の覇権国としての能力と資格を持つのか」という疑問には一般人も興味がそそられる。
▲国際政治の力学〓人類の歴史は今回のテロをどのように記録するのか。ジョジフ・ナイの「国際紛争の理解」(ハンウル、2000年)は、戦争と紛争を見つめる巨視的な慧眼を提供する。古代のペロポネソス戦争に始まり、1991年の湾岸戦争に至るまでの国際紛争の歴史を国際政治理論と引き合わせて説明している。今回の米国テロ事態に関しては、「超国家的な脅威」「超民族主義」などの概念を導入し21世紀の「新世界秩序」を追究した最後の章が注目に値する。
▲文明の衝突か、共存か〓今回のテロを「米国対イスラム」構図や「文明間の戦争」として捉えようとする見方が優勢だ。このような観点の元祖といえば、冷戦後の世界秩序を「西欧文明対中華・イスラム連合文明」の対決として捉えたサムエル・ハンティントンの代表作「文明の衝突」(キムヨン社、1997年)だ。アラブ関連紛争が起こる度「正解答案」のように引用されている本書については「過去の政治、軍事的冷戦を文化的に再生産している」という批判の声も少なくない。
反ハンティントン論の先頭に立つ著書としては、ハラルト・ミュラーの「文明の共存」(プルンスプ、2000年)が代表的だ。平和を研究するドイツ民間研究所(HSFK)の所長を勤める著者は本書の中で、「国際紛争は文明間の対決ではなく、人種と領土の葛藤が最も大きな原因」であったことを示し、ハンティントンの主張を一つ一つ論駁している。さらに、歴史的にも「衝突」ではなく「共存」と「対話」こそが世界共同体の解決策であったことに触れバランス感覚を呈示している。
尹正勳 digana@donga.com






