Go to contents

[オピニオン]彼らは何故断食(ハンスト)を選んだか

[オピニオン]彼らは何故断食(ハンスト)を選んだか

Posted August. 08, 2001 10:30,   

한국어

聖書の一節に「断食をする時、飢えた顔つきをしてはならない。悟られないように顔を洗い、頭に油をぬれ」とある。しかし、そのような断食は、どうも今の現実とはいささかかけ離れた平和でのどかなものに感じられてしまう。

我々の社会でしばしば行なわれたり求められる断食は、懺悔や単なる苦痛を分かち合うためのものでもなく、健康や美容効果を目的としたものでもない。

かつて非民主的な社会環境ゆえに不可能と見なされていた正しいことが、旧態依然とした保守的非難やご都合主義の公権力の行使により妨げられる時に行なわれる断食は事情が異なる。この時の断食は、闘争の手段(ハンスト)だ。その目的は、当然の権利を獲得することによってもたらされる平和だ。

昨年冬、厳寒のソウル明洞(ミョンドン)聖堂の入り口では、改革立法を要求する人権活動家らによるハンストが行われた。そして、この夏の猛暑下では労動基本権の保障を求める「ワンマン・ハンスト」が続いている。

この1年余りの間、ミキサー運送の労働者らの労働組合設立を法的に支えてきたキム・チルジュン弁護士が、絶望を表す意味でソウル汝矣島(ヨイド)の国会議事堂前に場所を移して16日間のハンストを行った。

先週からは、その趣旨に共感する人々が毎日リレー式にワンマンハンストを続けている。もちろんその前後には、建設産業連盟委員長と建設運送労組の組合員50人によるハンストも行なわれた。

闘争に関心を持たず平和のみを愛する人々は、このような事態が理解できないだろう。さらに悪いことに、労働者らがミキサー車両などを道路に駐車させて行った抗議の座り込みデモを、金槌を振り回して強制解散させた警察の姿ばかり報道され、その背景は事実通りに報じられなかった。

ミキサー車両の労働者らは昨年9月、40カ所の工事現場と70の労組支部を土台に、全国建設運送労組を設立した。しかし、使用者らはこれを拒否した。使用者団体の韓国レミコン工業協会と韓国レミコン工業協同組合連合会が、3度も団体交渉の要請を拒否したのである。名目上の理由は、個別に請負形式の契約を結んでいるミキサー車の運転手は労働組合を設立出来ないということだった。

だが、建設運送労組の質疑に対し、労働部は、使用と従属の関係が安定すれば労働関係法上の 勤労者と見なすべきだ、との有権解釈を下した。ソウル地方労働委員会も同様の論理で労組設立を理由にした解雇は不当であるとし、解雇された労組員を復職させるよう決定を下した。

それにも拘わらず、使用者らは承服せず、むしろ4月に労働者の労組活動を禁止するよう求める仮処分申請をした。これに対し、仁川(インチョン)地裁は、使用者らの請求を棄却することで労働組合の合法性を認めさせた。

この程度の経緯ならば、民主主義国家ではこれ以上論議の起こる余地がないだろう。ミキサー車の運転手も労働組合を設立して活動する資格があるかどうかをめぐる労働者と使用者間の紛争が、適法な手順で解決されたのである。それも労働委員会と労働部と裁判所が次々と同じ結論を下したのだ。しかし、結果は驚くべきことに、それ以前と何の変わりもないのだ。

500人余りが解雇され、70人余りが告訴され、50人余りが財産を仮差し押さえされた。家庭と生計を掛けた闘争では勝ったが、得たのは傷だけだったというわけだ。使用者は、相変らず労組活動を妨害する行為を権利だと思い込んでいる。

労働者と弁護士は、使用者らの不当労動行為を告訴した。その事例は100件を軽く越える。一部の事例に対しては、労働部さえ処罰意見を出した。しかし検察はどうしたわけか、次第に使用者サイドに近くなり、その強大な捜査権を発動しようとしない。労組活動禁止仮処分事件が上級審で確定されなかった、という曖昧な理由で言葉を濁すばかりだ。

ここで断食(ハンスト)を理解できない人や知らない人たちに聞きたい。彼らにできることは何で、我々ができることは何か。制度が許すあらゆる手段を通して主張が受入れられたのに、権利は実現しない。ミキサーを破壊した公権力は、裁判所の決定に対して顔を背けるのが精いっぱいだった。

そこで、彼らは権力の外側で抗議する方法を求め、最後の手段を選択したのである。平和な断食は 、個人の徳行として内密に行うこともできようが、闘争としての断食は、社会的義務感から決行されるものであるため、公にして飢えるものなのだ。

チャ・ビョンジク(梨花女子大学校待遇教授、参与連帯協同事務処長)