今年の世界保健機関(WHO)の禁煙運動のテーマは「間接喫煙は殺人行為、空気をきれいにしよう」だ。 WHOの資料によると、タバコを吸う時に発生する数千種類の化学物質は速いスピードで合成されるが、この中には癌を誘発したり、肺や気管支を損なう物質が含まれている。喫煙者たちは、WHOが室内喫煙を「殺人」と規定したことは、やり過ぎだと抗議するかもしれない。が、これはピストルで撃つことが急性殺人であるならば室内喫煙は相手を徐々に死に向かわせる慢性殺人に当たるという意味で受け取れる。
◆健康を損なってでもタバコの味と情趣を楽しみたいという愛煙家の権利は尊重されなければいけない。タバコより害毒性の強い麻薬すら個人の選択に委ねる国もある。だが、政府と企業、そして喫煙者たちが配慮しなければならないのは、自分で選択したことのない危険にさらされる人々の健康だ。WHOが室内喫煙禁止運動を展開しているのは、密閉された空間の中で殆どの時間を過ごす非喫煙者を間接喫煙から保護することが、人類の健康のための大切な課題としト浮上しているからだ。
◆政府は、タバコ一箱当たり2ウォンずつ課せられる健康増進分担金を100ウォン以上に引き上げ、健康保険財政を支援する方向で検討を進めている。タバコ消費者たちは、医薬分業の拙速施行による医療保険財政の破綻をこっそりとタバコに背負わせる行為だとして、不満の声が高い。タバコには既に消費税510ウォン、地方教育税255ウォン、付加価値税10%、廃棄物負担金4ウォンなど、各種のヘビースモーカー税が付いている。これに加えて健康増進分担金が引き上げられ、タバコの葉を栽培する農家を支援するための基金が10ウォンずつ課せられる予定だ。
◆タバコ消費者たちから見れば悔しい気分にならざるを得ないだろうが、まだ韓国のタバコ価格は欧米先進国の3分の1か2分の1水準に過ぎない。禁煙運動家たちは、タバコの値段が安くて青少年の喫煙が増えていると言いながら、さらなる価格引き上げを強く主張している。健康保険公団の統計によると、喫煙による癌や呼吸器疾患の治療費で年間5000億ウォンが所要される。健康保険は喫煙者と非喫煙者の保険料を同一に算定しているのだから、喫煙関連疾病の治療費の相当分を非喫煙者たちが負担してきたわけだ。そう思えばヘビースモーカー税にも合理的な部分があるように思える。
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