いわゆる「忠誠文書」波紋で世論の辞任圧力を受けてきた安東洙(アン・ドンス)法務部長官が、就任2日目にして電撃更迭された。安氏の過去最短在任の記録は本人は言うまでもなく、任命権者の金大中(キム・デジュン)大統領にとっても取り返しのつかない汚点となった。
すでに指摘した通り、たとえ個人的なメモであったとしても、法務長官が「泰山のごとき聖なる恩恵」「次期政権の継続担当」云々することは資格のなさを端的に表している。安氏の指揮下にある法務部と検察幹部が、22日夜更けまで会議を開き、安氏の辞任は避けられないとの結論を下したほどだ。安氏への不信がいかほどか想像に余るものがある。
当初、問題の忠誠文書は安氏とは関係のない単なるハプニングだ、として世論の非難の矛先をかわそうとした青瓦台(チョンワデ、大統領府)と与党民主党が、遅れ馳せながら事態の深刻さを認識し、長官の入れ替えに乗り出したのはなによりだ。忠誠文書それ自体も見逃せない問題であるが、文書の作成経緯をめぐる安氏の偽りの発言疑惑に鑑み、更迭は当然だった。
今回の法務長官人事の失敗は、能力と資質よりは地域按配などの政治的考慮によって、総選挙で三度も落選した政治家を抜擢したことからはじまった。法務部長官は政治的中立が生命である検察庁の人事権を握るだけに、政治家の起用には慎重を期さねばならない。しかし、別段の検証も経ず安氏を長官に起用し物議を招いたのだ。
この間、金大中政権は、組閣の度に能力と改革性という人選基準を打ち出したものの、実際には人為的な地域按配と連立政権としての限界から脱せなかった。常に自民連議員の入閣分を考慮せねばならず、そこからはじまった原則のない人事が短命長官を量産した。現政権発足以来、就任2ヵ月も経たない内に退いた、いわゆる「問題長官」が安氏を含めて5人にものぼる。
今回の法務長官人事波紋は、与党の人事システムに深刻な問題があることを露呈した。検察総長のための法務長官の入れ替え、与党内でも意見が分かれる閣僚候補の推薦経路、不十分な事前検証など、いちいち並び上げるときりがないほどだ。民主党内部でさえ安氏を推薦した責任者を問責しなければならないという声が聞こえてくるのだから、並々の事柄ではない。
金大統領は、今からでも偏狭な見方を捨て、広く透明な人材プールを確保する一方、任命に先立ち徹底した事前検証を制度化する方法を講じるべきだ。金大統領がこれまで強調してきた改革の成功も、結局は人事がカギとなる。






