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[社説] 経済を歪める政治論理

Posted April. 30, 2001 18:23,   

政府が決めた予算を税収が上回り歳計剰余金が発生した時、選挙と政権維持のために有利な部分にそれを使いたくなるのは、政治権力の俗性だ。歳計剰余金を国債または借入金や国家賠償金などの債務の返済に優先的に使うように定めている予算会計法は、前述のような政治権力の誘惑を抑制する意味が込められた法律といえる。

新千年民主党(民主党)が政府と協議している財政健全化法案は、歳計剰余金を国家債務の返済の前に追加更訂予算の財源として活用しようというもので、名称とは異なった不健全性を深めるおそれがある。まず歳計剰余金で国家の負債を返済し、それでも税金が残れば、国会の同意を得たうえで追加更訂予算を編成するのが国家運営の正道だ。

昨年、全体予算の8%にあたる7兆5000億ウォンが公的資金と国債の利息に使われ、財政は決して健全だと言えない状態だ。104兆ウォンが投下された公的資金の未回収分も、結局は国家の債務として残るしかない。97年の経済危機以来急増する国家の債務を、初期のうちに減らしておくという課題は、これ以降の経済危機に備え、後世の負担を減らすためにも、他のどんな政策よりも優先されなければならない。

大統領の決済さえあれば、歳計剰余金を5月の末頃から使えるようにしたのも、誤った方策だ。歳計剰余金とは、毎年10月頃の国会の決算審議で初めてその規模が確定する。行政府が国会の同意も得ずに歳計剰余金を勝手に使うのは、国会の予算・決算審議権に対する重大な侵害行為である。

今年は、久々に選挙のスケジュールがない年だ。政府・与党としては人気にとらわれることなく、構造調整と財政の健全化に尽力できる条件が備わったことになる。政府・与党がこのような良い条件を生かす事もできずに、来年の地方選挙と大統領選挙を意識した、歳出規模の拡大にだけ執着する態度を見せているのが遺憾である。

票を意識した歳出を増やしたと言って、与党に票が集まる時代は過ぎ去った。それは有権者の水準を甘く見るということだ。民主党が、民心が離れる兆候にあせるあまり、年金・基金の証券市場投入拡大という無理な証券浮揚策や、票を意識した歳出拡大に躍起になっているようで仕方がない。しかし、政治論理によって歪められた経済政策は、与党が期待している効果はもちろん、中・長期的な経済回復には役に立つはずがない。

与党は、選挙がない年に経済論理を最大限に尊重する事によって、経済省庁に押し寄せていく政治の波を、与党自らが防いでやらなくてはならない。