保守強硬派のジョージ・W・ブッシュ米共和党が国家ミサイル防御(NMD)体制構築の強行を表明しながら中国とロシアがこれに大きく反発するなど東北アジア情勢が緊張局面に向かっている。韓国もその影響から逃れることはできず、韓—露および韓—米首脳会談でNMDに対する立場を巡って外交的に冷や汗をかいた。
国防部が「Xプロジェクト」で推進している次期誘導武器(SAMX)事業や次世代駆逐艦(KDX3)事業は元を正せばNMDとともに弾頭ミサイル防御(BMD)体制を構成する全域ミサイル防御(TMD)体制と同じ武器体系を導入するものだ。TMD体制のうち、地上と海上下層防御を構成するPAC3とイージス艦を備えるからだ。
それだけに、この事業を見つめる周辺国の心境は複雑だ。
また実際米国産の単一装備で推進されているため、価格問題と推進方式を巡って異見が多いのも事実だ。
▽TMD不参加は対外向けか
日本は98年の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のデポドンミサイル試験発射をきっかけにTMD海上防御体系の共同研究開発に参加を決め、台湾も参加を前向きに検討している。反面韓国は「TMD体制の研究開発に参加する資金も、技術力もなく、面積が狭い朝鮮半島の戦場環境にも合わない」という理由で不参加を表明した。
韓国が推進しているSAMXとKDX3事業はTMDの一部武器体系だけを備えることにすぎず、この体系への参加を前提にこれらの事業を推進するのではない。しかし東北アジアの戦略構図の変化によっては米国が韓米同盟を突きつけて韓国にTMDへの参加を求める可能性は排除できない。
特に米国のNMD計画によると、2015年まで完了する地上配置レーダー(GBR)の設置場所に韓国が含まれており、この問題はいつと限らずまた懸案として浮上する可能性がある。
▽PAC3は高すぎて…
SAMX事業は老朽化したナイキミサイルを交替し、長距離高々度防空網を構築する事業だ。当初SAMX事業にはロシアのS300が候補機種として参加していたが、昨年8月事業参加を諦め、米レーシオン社のPAC3が単一候補にあがっている。
しかしレーシオン社が当初提示した価格より50%も高くなった額を示し、国防部は現地の試験評価を保留して事業を再検討しているとされている。
軍の一部では北朝鮮の最大の脅威は前方の長射程砲なのに、高値のミサイル迎撃態勢が現時点で必ず必要なのかという反論も出ている。しかし来年から淘汰が始まるナイキミサイルの代替武器が備わっていないと防空網に大きな穴があくことになり、進退きわまる様相だ。
▽公開競争か随意契約か
KDX3事業によって確保しようとしている「夢の駆逐艦」イージス艦は海軍が推進している戦略起動艦隊を構成する主力艦艇だ。船体は国内技術で建造するが、総費用の70%に及ぶレーダーと迎撃ミサイルなど戦闘体系は外国から導入する。
米国と日本が既にイージス艦を保有しており、スペインは建造中。しかし日本とスペインは米国のイージス体系をそのまま導入した。
特にTMDの海上高々度防御(NTWD)能力を備えているのは米ロッキードマーチン社のイージス体系しかないというのが国防部の説明だ。英国とオランダのレーダーは出力が低く、遠距離高速飛行弾頭ミサイルの防御に弱い。
ロッキードマーチン社は最近米国と日本からそれぞれ2艦のイージス体系を注文されている状態で、韓国から追加注文されれば同じ条件で販売したいと提案してきた。
国防部は従って一時は事実上の随意契約である米国の海外軍事販売(FMS)方式を検討していたが、波紋が広がったため公開競争に変更した。
しかし結局は米製になるというのが大方の見解だ。
李哲熙(イ・チョルヒ)記者 klimt@donga.com





