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『キム・ユンシク文学紀行』

Posted April. 10, 2001 17:10,   

この本をタイトルから、よくある文学紀行だと思うと大間違いだ。我が国を代表する文学評論家にして文学史家であるキム・ユンシク・ソウル大教授の広く深い事柄、歴史に対する省察、文学に対する情熱と苦悩が解けこんでいるからだ。文学紀行かと思うと歴史紀行であり、そうかと思うと哲学紀行でもある。そしていつの間にか宗教的、実存的事柄の中に読者を引きずり込んでいく。

著者の旅行の舞台はモンゴル、ネパール、日本、中国。旅行先としては珍しくないが、著者はその土地で韓国文学の痕迹と香り、韓国史の哀歓を繊細な筆致で書き上げている。そして豊富な知識を土台にあらゆる事柄の世界を散歩する。その範囲は縦横無尽だが、そこには一貫する何かがある。

まずモンゴル紀行。コンセントを挿さないとエンジンがかからない古い双発の飛行機、ジンギスカンが軍事訓練をしたという渓谷など、モンゴルの風景がうら寂しく描かれている。著者はジンギスカンの遺跡地で、皮肉にもモンゴル焼酎や馬乳酒ではなく西洋のワインが売られている様子を目撃する。そしてその事柄が縦横に広がり始める。

「俗な観光客を呼び込むための商業的、心理的トリックが、ワインではないだろうか。無思想の観光客の内面心理を深く看破した、商業的技術がそこに生きているのではないだろうか。旅行者たちの心理的な満足感としてのワイン…」。

このようにこの本を終始貫いているのは、まさにオリエンタリズムだ。

次はネパールのカトマンドゥ。そこの古本屋で、日本人作家梶山季之の小説『李朝残影』を発見した著者。朝鮮のわらぶき屋根が表紙の挿絵に入った文庫版だった。その本を買い、著者は古代と現代が入り混じった神々が立ち並ぶ道をさ迷いながら、長い髪を垂らした苦行者の姿、火葬場の煙、灰色の川の流れを見る。

著者は『李朝残影』の本当の匂いをかぐ。1940年京城(ソウル)、日本人の画家と朝鮮人妓生の話を描いたこの小説。著者は「小説の主人公にとって朝鮮の美しさは、『旅人の美しさ』に過ぎなかった。それは結局日本のオリエンタリズムではないだろうか」と繰り返している。

251頁 8000ウォン 文学思想社



李光杓(イ・グワンピョ)記者 kplee@donga.com