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[東亜広場] この文章もデマですか?

Posted December. 10, 2000 11:32,   

少なくとも現政権の下では「デマ取り締まり」という言葉は出てこないと思っていた。過去の軍事政権時代、独裁政府の弾圧によって最も大きな被害を受けたのが、まさに現在の与党だからである。

国会記録をひも解けば、当時の野党は政府に向かってこう叫んでいたことがわかる。「何がデマでどこまでが真実なのかを判断する良心的な目があなたたちにはあるのか。デマは、政治が失敗して世の中が騒がしい時に自然発生的に現れるものであり、政府が取締りの手綱を締めれば締めるほどますます勢いづくものだ」。

先週「国民の政府」が驚くべきことに軍事政権が行った「デマ取り締まり」を宣言した。「政府が対北問題に執着するあまり景気が悪くなった」との内容の印刷物がソウルでばら撒かれ、「某財閥グループが資金難にあえいでいる」という噂が証券市場に広まっていた時だった。

「政策に対する非難まで取締りの対象」という奇怪な内容のため、巷では政府要人に対する誹謗が主な取締り対象だろうという話がデマのように広まった。その予言は外れてはいなかった。警察が3日前に取締りの初の「収穫」として取り上げたのは、金大中(キム・デジュン)大統領に対する誹謗だった。調査対象となった釜山の30代の男性が新聞社のホームページにアップした文章は、実際には内容があまりにも稚拙で、肩を持つことはおろか口に出すのもはばかられるほど粗悪なものだった。

問題は、これよりはるかに下品で残忍な文章が、一日に数え切れないほどコンピューターの画面を飾っているのが現実なのに、なぜ今更大統領を誹謗した文章をデマとして問題視するのかという点だ。オンライン上で繰り広げられている言葉の暴力は深刻な社会問題だが、警察がもう少し賢明なら他のデマの出没を防ぐためにも大統領に言及した今回の事件ぐらいは見て見ぬ振りをしたほうがよかったのではないだろうか。

証券市場のウワサにしてもそうだ。企業を陥れるデマは許せないにしても、「ウワサで買って発表で売れ」と言われるほど証市ではウワサも重要な情報の一つとみなされている。問題は信憑性だが、そんなウワサに惑わされるかどうかは全面的に投資家の判断によるものだ。特定企業に対する性質の悪いウワサはその企業が法律的に対応すれば済む問題ではないだろうか。

96年にも安企部(現国家情報院)まで乗り出して、今回のようにいわゆる私設情報流通に対して取締りを始めたが、捜査の噂が広まってかえって株価が暴落して政府は頭を抱えることとなり、取締りの対象となっていた私設情報供給業は根絶させられるどころか今日では一層繁盛している。そもそも情報流通というものは需要と供給という市場原理によって動くため、欲する側が存在する限りなくならない。取り締まりがどれほどの成果を収めることができるのか気になるところだ。

権威主義がはびこり、相対的に劣勢な社会構成員たちが心を開くことができない時、デマは細菌のように繁殖する。社会が病んでいるほどウワサが広まることは、我々の歴史を振り返ってみればすぐにわかる。政権の正統性や国民の意識水準が昔とは比べ物にならないほどしっかりしているというのに、なぜ今になって捜査機関が取り締まりに乗り出さなければならないほどにウワサが横行しているのかは、当事者である政府が一番よく知っているだろう。

与党を取り巻く雑音、公共機関の天下り人事や国税庁、警察庁の人事で表面化した特定地域主義、国民の目には一から十まで振り回されっぱなしに映る南北関係、労組と裏取引をしながら表面的には取り繕っている公企業改革、一向に進まない構造調整や危機的状況の経済等など、一つ一つ列挙するのも骨が折れるほど多くの現政権が招いた悪条件は、すべてデマを熟成させる肥やしだ。このような状況でどんなに強力に取り締まりを行っても世論はデマを作り続けるだけだ。

解決方法?それは極めて簡単だ。政府が反省してデマの源泉となるような振る舞いをしなければよい。不幸にしてそんな意志も勇気もないなら次善策が一つある。誰が何を言おうが悪態をつこうが堂々とし、批判にも反対論理にもびくともせず、性質の悪いデマにも自信満々な政府になればよい。病気の原因である失政は棚に上げて、症状の一つであるデマだけを取り除こうとする政府よりははるかにマシではないだろうか。