Go to contents

[時論] 大統領のリーダーシップが問題

Posted December. 06, 2000 12:20,   

私が小学生だった頃、イ・スンマン(李承晩)大統領にそっくりだった私の祖父はイ博士と呼ばれた。そんな祖父を誇りに思っていた私にとって、イ大統領の下野は衝撃だった。その理由が知りたくて私は、皆に質問をした。

大人たちの答えはみな同じだった。イ・ギブン副大統領が、あらゆる不正をしでかしている間、イ大統領は何も知らなかったと言うのだ。子供心にもどうして大統領が何も分からない事がありえるのか理解できなかった。「大統領は新聞も見ないのかな?」。しかし、大人たちの答えが「大統領」を守るためのものだったという事実を知るまではさほど時間はかからなかった。

突然このような話で始めたのは、当時よく耳にした話が最近また聞こえ始めたからだ。「大統領はうまくやっているのだが、それを支える人材がない」、「情報収集の道が閉ざされ、大統領が民心を把握できていないようだ」

結局は、金大中大統領も事態の深刻性を認識したのか、世論収斂に積極的に臨んでいるという。与党・新千年民主党の最高委員たちとの晩餐に続き、民主党の総裁特別補佐団にも会った。党の4役にも会ったと言う。こういう報道を目にして、幼い頃の質問がふたたび頭を過ぎった。「大統領の特別機には新聞もないのかな?」。

大統領が党幹部と直接面談しなければ世論がわからないほど、今の意思伝達のシステムが間違っているのだろうか。金大統領は民心が動揺するたびに、内閣改編を断行したが、何も変わらなかった。今回も何人かを首にしたことだけで党政刷新ができると思えば、余りにも安易な対処となるだろう。意思伝達システムのどこが間違っているのかを綿密に検討して、しっかり整備していかなければ残りの任期の間にも希望はないだろう。

意思伝達の要素は大きく四つに分けられる。話す人、聞く人、メッセージの内容、伝達システムだ。メッセージの内容は話す人が誰なのかによって違ってくる。最高委員たちとの懇談内容を口外していない事からもわかるように、誰の話しを聞くかは非常に重要な事だ。しかし、必ずしも内容や伝達者に問題があったのではないようだ。総裁特別補佐団は、民心をそのまま大統領に伝えたとしておるし、大統領もそれぐらいはすでに新聞を通じて知っていると答えた。

ならば伝達システムに問題があるのだろうか。現政府は、発足前から経済危機の原因は世論が大統領に伝わってなかった為だとして、大統領への批判を専門的に担当する朝鮮王朝時代の司諫院(サガンウォン・朝鮮時代、王への諫言を受け持った官僚)のような機関を青瓦台(チョンワデ・大統領府)に設ける方針だと発表した。それさえあったならば今のような危機を避けられたであろうか。

私たちは情報化社会に暮らしている。朝鮮時代のように司諫院などなくても、党幹部に合わなくても大統領の意志さえあればすべてを把握できるオープンされた時代である。だとしたら、いったい何が問題なのだろうか。話す人も、メッセージも、伝達システムにも問題がないとすれば、結局、聞く人に問題があるという結論が出る。確かに、聞く人は誰からどんな話しを聞くかを決めるはずだ。

総裁特別補佐団との懇談会の話によると、金大統領はマスコミが今の状況を大袈裟に表現しており、改革のためにはこれくらいの不満は仕方ないというふうに思っているようだ。結局、話を聞くための場であったというよりは、彼らを諌め、これからの事を頼もうとしたのではないかと思われる。

大人になった今、幼少時代の大人のように何も知らなかったからそうだったと言うような苦し紛れの言い訳は、子供たちにしたくない。金大統領が危機を瀕しているもっとも大きな理由は、金大統領にリーダーシップがないからだ。真なるリーダーとはリーダーを育てられる人だ。リーダーシップの要は、部下に権力を与える事にある。いくら頭が良くても手足がするべき事を頭が代わってやるわけにはいかない。力のある人を選び、思い存分その力を発揮できるように見守る事こそリーダーの仕事だ。管理型人事の前進配置で、リーダーシップのある政治家の起用を避けてきた金大統領の人事スタイルを見直すべきだ。

セゾン(世宗)大王(ハングルを創った王)が偉大な王になれたのもファン・ヒ(黄喜・1363〜1452年)やメン・サソン(孟思誠・1360〜1438年)のように立派な臣下がいたからだ。諸葛孔明も一人では何もできないと言う事を大統領だけが知らないようで残念だ。