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[コラム] 「知識経営」は、まだ遠い

Posted November. 14, 2000 13:01,   

自動車工場を見学したことのある人は、2万個を越える部品が緻密に組み立てられ、一つの立派な自動車に生まれ変わることを目にして感心しただろう。そして、大部分の工場が柔軟な生産システムを導入して、多様な製品を一つのラインで組み立てることもよく目撃しただろう。

しかし、‘知識工場(knowledge factory)’を見た人はあまりいないに違いない。知識工場では情報が流入した後加工され、加工された情報は一つの‘情報部品’に変わり、組み立てのために保管される。後日、情報商品に対する需要が発生すると、この部品らは即時組み立てられ、一つの製品として蔵出しされるようになるのだ。知識工場は土地も要らず、環境汚染物質も排出しない上、エネルギーも使わない未来型産業であろう。

世界的なコンサルティング会社と企業らはいずれもこのような知識工場や企業情報センターを持っている。この工場に保管してある部品は、技術動向、ャtトウェア・ャ求[ション、経営事例、企業分析資料、産業及び市場の研究、顧客のデータベースなどである。知識工場を活用する一つの例を見てみよう。世界的なコンサルティング会社の韓国支社でプロジェクトを受注するために提案書を作成すべきであるが、これに必要な情報を知識工場に要請する。そうすると、本社の知識工場は、その先進事例、産業研究、ャtトウェア・ャ求[ションなどをまとめ、翌日、韓国にeメールで送る。韓国のオフィスでプロジェクトを受注する場合も、プロジェクトの期間に必要な情報を知識工場から継続して支援してもらう。プロジェクトが終了した後、その製品を韓国のオフィスから知識工場に送ると、そこでこれを分解して新しい情報部品を作り工場に保管する。

また、外国では、情報を販売する専門会社が、大規模のコンサルティング会社だけでなく法人や個人を相手にして知識工場を運営している。一例として、アメリカのレクサス・ネクサスという法律・経営ポタルサイトには、多くの学生、会社員、公務員、弁護士などが有料で接続して、報告書の作成や意志決定に必要な有用な情報を得ているという。フーバス・ドット・コムというサイトには全世界の大手企業についての詳細な企業分析情報が豊富である。それから、ウォールストリート・ジャーナルのような言論社も自分の持っている厖大な報道資料をもとに有料サービスを提供している。

ところが、このような高級情報を国民が多く利用すればするほど、彼らはより優れた意志決定を下すことができる一方、このような数多くの合理的な意思決定が集まって国家競争力を形成するようになる。韓国にもドット・コム企業のブームに乗り、多くの情報提供サイトが出来てはいるが、その大多数のサイトが単純に1次元的な情報や娯楽を提供することに止まっているため、ユーザーからはそっぽを向かれている実状だ。我々にも会社員や政策の立案者が簡単に接近できる高級情報ポータルサイトがあれば、今のような、情報不足によって意思決定を誤る被害は多く減らせたと思われる。

産業革命は遅かったが、情報化革命だけは先頭に立とうとの我々の意思はだんだん弱くなり、知識経営に対する関心も原論水準を抜けずにいるような気がしてならない。今の韓国経済には外国のような知識工場の運営できる知識統合者が必要だ。もちろん、韓国人の知識統合者がいなくても外国の知識ポータルを適切に活用することは出来るだろうが、言語の障壁を乗り越え、容易に外国のサービスを利用できる階層は極めて限られているに違いない。これは、それだけ我々の競争力が弱まることを裏付ける。我々を経済危機に追い込んだ政策失態の多くの部分がこうした情報の不在によるものであり、現在、リストラされる企業の意思決定においての失態も世界の経営潮流に関した情報不足にその原因がある。

知識経営社会において重要な役割を担当する韓国の知識ポータルも多様な提携や産学協同などを通じて、広範囲で深みのある情報を多量確保すべきである。最後に、知識経営社会になるためには消費者のマインドの切り替えも欠かせない。韓国の消費者は買うとの概念があまりないようだ。大学入試のための教育投資には惜しまないが、本当に重要な意志決定のための情報投資にはさほど積極的な姿勢を見せていないようだ。このため、多くの投資者が‘独断投資’を行ない、長い間稼いできたお金を一夜にして無くしてしまうケースもよく目撃してきた。そして、インターネット上では全てが無料だとの考え方を早く棄てないと、知識社会の健全なルールは定着し難くなるだろう。