朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のピョンヤン(平壌)で開かれている政府担当者間の南北経済協力実務会談の結果が10日(金曜日)から具体化されはじめた。特に、北朝鮮は最近、他の分野では多少ためらいを見せている反面、経済分野においては積極的な姿勢を取っている。南北が企業間の取り引きにだけ使う通貨を新たに発行するということで合意した事は、経済協力の活性化に寄与するものと思われる。現在、南北の取り引きは、主にドルベースで行われる。ところがこれは南北の通貨をそれぞれドルをベースに為替レートを決めなければいけないので、非常に面倒である。
財政経済省のベ・ヨンシック(鞖英植)経済協力局長は、「両国が今回合意した新たな支払いの手段は、決済だけに使われる仮想の貨幣単位であり、南北で使われている通貨の為替レートを決める他にも、貿易を促進する効果がある」と説明した。新たな支払いの手段は、ドイツが統一当時発行した清算単位のVEがモデルになる見込みだ。取り引き代金の決済以外には使われない方針だ。
北朝鮮の代表団が、韓国の代表団にピョンヤンのソフン洞にある食糧普及現場の訪問を初めて許可し、食糧配分の文書を公開した事も意味がある。
韓国は北朝鮮への食糧支援の透明性を懸念している韓国内の世論を意識し、9日から北朝鮮に現場調査を強く求めてきた。北朝鮮は、当初、韓国が直接そうした現場を訪問した例が一度もなかった事を例に難色を示していたが、10日午後、電撃的にこれを認めたのである。政府の関係者は、北朝鮮が韓国代表団の立場をそれなりに気を使った模様だとして、今後経済協力に関する合意の過程で、これが前向きな形で作用する事を期待している。
一方、北朝鮮はこの日、これまで韓国から提供された食糧の配分状況についても公開した。北朝鮮は韓国に提供した‘食糧分配定型通報’という文書で、先月5日から今月9日まで14万8687トンの米とトウモロコシなどを韓国から支援され、食糧分配常務という機関を通じて、北朝鮮の各地域の一般家庭に配ったと説明した。北朝鮮は、食糧支援の速度が遅いことや一部は腐敗して食べられなかったとして是正を要求している。ただ、北朝鮮が韓国の代表団に食糧配分の現場を公開し、一部住民との接触を認めたからとして食糧配分がきちんと行われているかどうかに関する国内の懸念を完全に払拭するのは難しいと見られる。現場公開の意味をわざわざ切り下げてまで評価する必要はないだろうが、北朝鮮がいつかは必ず公開しなければならない部分を少し早めに公開し、よりたくさんのものをそれを通じておびき出そうとしたのではないかと言う分析も可能だ。






