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[社説] ミジュ実業退出の意味

Posted September. 25, 2000 19:14,   

ソウル銀行などの債権団がミジュ実業に対する企業改善作業(ワークアウト)を中断すると決定したことは、本格的な不良企業整理への信号弾であると解釈される。政府はミジュ実業に対する債権団の決定が下される前日、営業利益での再建の可能性のない企業は積極的に整理し、市場から不確実性を取り除く方針を明らかにした。

それほど規模が大きいわけでもないミジュ実業に財界の視線が注がれているのは、この会社の会長である朴相煕(パク・サンヒ)氏が与党である民主党の全国区現職議員と中小企業協同組合中央会長を兼任しているためである。ミジュ実業の一件は不良企業整理に対する政府の透明性と意志を図るバロメーターだったといえる。

債権団から調査依頼を受けた韓国信用評価社はミジュ実業に対し、このまま経営を続けたり新規事業を推進したりするよりも、清算した方が利益が大きいという結論を下した。このような企業が今まで銀行からの輸血を受けながら生き延びてきたのは、企業自体の実力よりも会長の政治力に依存しているためではないだろうか。

全国経済人連合会(Federation of Korean Industries: FKI)傘下の韓国経済研究(Korea Economic Research Institute: KERI)の調査によると、企業全体の20%程度が営業利益では各種融資金の利子を処理できない「限界企業」であることが明らかになった。企業の不良・不安定化はすなわち企業に資金を貸した金融機関の不安定化につながる。

金融構造調整の実効性を確保するためには、企業構造調整を迅速に推進する必要がある。経営正常化が不可能な「限界企業」に対しては積極的な構造調整を行ってこそ、金融市場の早期安定が実現し、健全な企業に資金が流れるようになる。

主な債権銀行であるソウル銀行が資金支援を中断することによって、ミジュ実業は法定管理、あるいは清算の手続きを踏むと予想される。法定管理あるいは清算手続きに踏み切る企業が増えれば増えるほど、公的資金が投入された銀行の不良債権も増えざるを得ない。

これまでに明らかになったワークアウト企業経営者のモラルハザードぶりの事例は数え切れないほどであり、ミジュ実業も例外ではなかった。もちろん有限責任である株式会社制度では、法を犯さない限り経営者に個人的な民事・刑事的責任を問うことはできない。しかし韓国的な経営風土では企業財産と個人財産の境界が曖昧な企業が多く、ワークアウトで延命している企業の経営者が会社の資金を個人的に運用する行為が少なくない。

ワークアウト企業の経営者に対しては徹底な調査を行い、違法行為が明らかになった場合には民事・刑事責任を厳格に追究しなければならない。