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[社説]天下り人事の業

Posted September. 19, 2000 20:48,   

監査院が発表した公企業のモラルハザードの実態を見ると開いた口が塞がらない。ほとんどの公企業が構造調整はおろか、「山分け式の経営」をしていたことがわかった。政府が「公企業改革」を国政の指標として掲げていたにもかかわらず、惨澹たる状況である。

公企業のモラルハザードが蔓延しているのは「天下り」と「回転扉」人事からその理由を探せる。歴代の政権は資質と専門性を備えていない不適格者を公企業の社長として任命してきた。そのため、それらの社長は、経営改革に力を入れるよりは労働組合の顔色をうかがいながら無事任期を終えることだけに気を配ることになる。

軍事政権時代には「軍靴」が社長であり、キム・ヨンサム大統領のときは、「登山靴(民主山岳会出身)」が天下りされてきた。国際通貨基金(IMF)管理体制と共に発足した国民の政府では変わるだろうと思っていたが、公企業の社長職は依然として権力周辺部の食客や落選したものの労り用に使われていたのである。

退職官僚が傘下公企業の社長となる、いわゆる回転扉人事も専門性という面では先の例より優れているかもしれないが、政府が関与する余地がある。今回の監査院の監査で指摘された国民銀行の場合も、金融監督員の副院長が退職した後、回転扉という天下りの形で銀行頭取に就任したことから、労組が反発し、これをなだめるために162億ウォンを特別激励金を支給したのである。経営者選定委員会の審査や公採などの形を借りて社長を任命する場合もあるが、これも実際はすでに決めておいた後、見せかけで行っていることに過ぎない。

政治的配慮によって任命された社長らは、果敢な構造調整の実行が難しいだけでなく、お礼をするところが多いため度を超す接待費が必要である。結局、公企業のモラルハザードは政府権力のモラルハザードが作り出したのである。

公企業労働組合の労組覇権主義も問題である。しかし、これを果敢に是正できないのは、労組が天下り社長、回転扉社長の選任反対運動を繰り広げる過程で社長を飼い慣らす事ができるためである。労組と妥協し、やっとのことで就任した社長が「土着勢力」の抵抗を乗り超え改革するということは、はじめから無理な話であった。

供給過剰な状態の製品を生産しているため、工場を稼動すればするほど赤字が増えるだけなのに、工場を稼動し続ける公企業もある。このような企業は思い切って清算手続きに踏み込むか、合併をし、民営化すべき企業は一日でも早く民営化すべきだ。