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東京大学の教授ら“定年延長に反対”

Posted September. 05, 2000 11:10,   

日本を動かすのは官僚だと、一般には言われる。それほどに官僚集団の力が強いということだ。日本の長官は集権団の派閥によってその位置が決まるため、専門性が不足していることが多い。

そのような脆弱点を補うのが、有能な職業官僚達であり、従って彼ら職業官僚たちの自負心も大きい。

日本の官僚社会は東京大学が支配している。略歴を紹介される官僚のほとんどは東大出身者であるし、東大が日本を動かしていると言うのは決してでたらめな誇張ではない。

しかし最近‘東大亡国論’が持ち上がっている。急変する国際環境に適応することもできずに高い地位だけを守っていては、かえって国家発展の障害になるという指摘だ。企業経営者たちも「高度成長社会においては東大出身の組織的なリーダーシップが必要だったが、今ではそれが負担になっている」という不満を述べている。

そのような状況の中で3日、前現職東大教授70名が参加した定年延長反対シンポジウムが、人々の感心を引いた。蓮實重彦東大総長が最近「60歳以上の人材を活用すべきだ」と、現在60歳である定年を65歳に延長するという動きを見せていることに対する集会だった。

シンポジウムの参加者は「定年延長は大学の活力を落とし、若い教授の登用を妨げることになる」と反対している。つまり若い後進者の為にも教授職の席を譲らなくてはならないということだ。また、再就職は困難であるから、とりあえずは年金が給付される65歳まで学校に残るということが、定年延長論の内情であると指摘している。

ほんの些細な事柄でも、自分の持つ既得権を手放すというのは誰しも容易にできることではない。しかし定年延長に反対する東大教授らは、大学と国家の未来の為に‘東大教授’という‘最高の地位’を放棄しようとしているのだ。

もちろん東大内でもこのような主張はまだ少数派だが、だからといって黙っていても徳を得ることができるであろう彼らが、定年延長に反対するという姿勢は尊敬に値する。