教育部の宗梓(ソン・ジャ)長官が三星(サムスン)電子の社外理事時代、この会社の失権株を買い入れ、莫大な利益を手にした事実が、現在になって世論の批判対象になっているのは残念なことだ。宗長官と三星電子が主張している通り、彼が失権株を引き受けたのは理事会の決議など、所定の手続きを経ているため、法的には何の問題もない。また、株の未来価値を正確に見通すことが不可能だったという点から見て、彼としては時価差額により利益が出たという結果だけによって非難の対象になるのは悔しいことであるかもしれない。
しかし宋長官が単なる一般市民ではないという点で、この問題が論争の対象となったということを忘れてはならない。当時、この会社の職員全員が共同で行った行為だとはいうものの、社外理事の立場を考えた時、実権株の配当を受けたことが正しいことであったかどうかは考えてみる必要がある。
失権株がそのように処理されるのが慣行だったという主張は納得できるが、企業の経営を監督し監視しなければならない立場の社外理事がこのような特恵を受けたとすれば話は違う。その上、宗長官は誰よりも社外理事の責務を良く知っていると言われている程、この分野に特別な学識を持つ人物ではないか。
特に我々が注目しているのは、株の買い入れ資金が企業の仮支給金だったという点だ。自分が社外理事の立場にある企業から利子を全く負担しないまま、株式買い入れ資金を借りたということは、いくら慣行だといっても、自分に厳しい人間なら、受け入れることができないのではないか。
仮支給金を受け取った当時は、市中の金利が現在よりも相対的に高かった時期であることを考慮すれば、無利子で金を借りたこと自体が大きな特恵であるといえる。そのような意味で、遅ればせながら売買差額を社会のために使うという宗長官の約束は当然なことといえるだろう。
一般的な話ではあるが、社外理事が企業からそのような形の特恵を受け、該当企業の友好勢力になる人物なのだとしたら、この制度は有名無実なものとなる。これを契機に、その他の企業でも行われている内部経営陣と社外理事の間の密着関係が是正されることを期待したい。政府も今後、企業と社外理事間の関係を厳格に設定する制度的措置を設けて欲しいものだ。
大統領府と与党がこの問題について、長官になる前のことだと軽く見ているような印象を与えることも実に遺憾である。長官に任命される以前のすべての出来事が、すべてそのように許されるのだとしたら、内閣改造前の厳格なる検証過程が全て無になる。
今回の場合は特に、相対的により厳格な道徳的基準が要求される教育責任者に該当する思案であることを、政府与党は心に留めておくべきだ。






