Go to contents

高まる欧州障壁に電気自動車メーカの備えが必要だ

高まる欧州障壁に電気自動車メーカの備えが必要だ

Posted December. 18, 2023 08:42,   

Updated December. 18, 2023 08:42

한국어

フランス政府が補助金を支給する電気自動車(EV)リストから起亜(キア)自動車のニロとソウルを除外した。韓国車の中では現代自動車のコナだけが支援対象に含まれた。低価格を武器に欧州市場に参入する中国製EVを牽制するための保護貿易措置に韓国企業が被害を被る状況になった。

先週、フランスは「フランス版インフレ抑制法(IRA)」と呼ばれるグリーン産業法の施行を始めた。EVの原材料確保、生産、運送など全過程で炭素排出量を点数化し、基準を超えるEVに限り1台当たり700万~1000万ウォンの補助金を支給する内容だ。船で車を運ぶ時に排出する炭素まで反映するため、フランスから遠く離れた国ほど不利になる。

これにより、78車種のEVが支援対象に選ばれた。70%がフランス、ドイツブランドのEVだ。中国車は1種もなく、日本車は6種、米国車はテスラ1種だけだ。韓国車の中では現代自動車のコナが唯一含まれているが、これはチェコ工場で生産されるからだ。ニロとソウルは韓国で製造・輸出される。補助金を受けられないEVは今後、現地市場で競争に勝ち抜けない。欧州では欧州製だけを販売しろという「EV保護主義宣言」に他ならない。

直ちに起亜が打撃を受けることになった。今年に入って10月までフランスで販売された現代自動車・起亜自動車のEVは前年同期比5.8%増加した12万6000台だった。このうち起亜自動車の割合が半分以上を占める。今になって韓国通商当局はフランス側に異議を申し立て、脱落車種の再評価を求めるとしているが、韓国車だけが列外を認められるのは容易ではない。起亜自動車はスロバキアの内燃機関車工場でEVを生産することで対応する方針だが、ライン転換に莫大な費用と数年の時間がかかる。

韓国のEVメーカーや二次電池メーカーはこれまで、米国IRAに合わせて米国への投資や現地工場設立の拡大に全力を注いできた。フランスの予想外の措置で油断していた欧州市場で不意を突かれた。今月初め、中国資本25%以上の韓中合弁電池企業に補助金を支給しないとした米政府の決定に相次ぐ衝撃だ。

自由貿易秩序を揺るがす排他的保護主義の動きが他の欧州諸国だけでなく、世界の他の地域にも広がりかねないというのがさらに大きな問題だ。各国が競争的に築き上げる貿易障壁の前で「輸出韓国」が産業化以来最大の挑戦を迎えている。