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果物、生き残るためにもっと甘くなる

Posted September. 17, 2022 09:09,   

Updated September. 17, 2022 09:09

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「神様がアダムを連れてきて、エデンにあるこの園の世話をさせ、このように言われた。この園にある木の実は何でも好きなように摘み取って食べなさい。しかし善と悪を知らせる木の実だけは取って食べるな」

旧約聖書の創世記は、人類の深層意識に果樹園がすでに楽園の象徴として位置づけられていることを示している。ドイツの自然専門ノンフィクション作家である著者は、「歴史の中の多様な果樹園とその形態を説明し、その木の間に位置した人々の暮らしと労働を盛り込もうとした」と話す。

植物の他の部分と違って、果物は「自発的に上げる」栄養素だ。種を広めるために、動物を誘惑する装置だからだ。人間と家畜のように、今の人間と果物も互いに影響を及ぼしてきた共進化の産物だ。

人間は、果物を自分にもっと魅力的に変貌させ、果物を結ぶ植物編でも、子孫をもっと広めるために人間に影響を及ぼした。果物を食べる霊長類の脳は、そうでない種より平均25%大きい。果物を摂取するためには、いつ実が熟し、どの実が毒がないのか、どんな色がきちんと熟したのかを判別できなければならなかった。果物を食べるようになった人間は、先祖である類人猿代に自らビタミンCを合成できなくなった。果樹園を作るのは、未来にでも実を結ぶ計画的投資であるため、文明の形成に深く関わった。

果物も、その大きさや糖度、色、香りなどすべての面で人間を満足させるために、大きな変化を経験した。乾かしてこそ苦味がなくなり、食べられる昔のリンゴは、今日は多様で魅力的なリンゴ品種に生まれ変わった。ローマ帝国は、各地の果物を呼び寄せて広めるハブ(Hub)だった。大プリニウスが書いた世界初の百科事典の博物誌には、1000種余りの果物が出てくるが、そのうち71種が醸造用のブドウだった。

果物の文化芸術史も、だくさんに盛り込んでいる。画家のセザンヌは、「リンゴ一つで、パリを驚かせる」と話した後、優れた絵でこれを実現し、ルノワールは自分の私有地で育ったオリーブ油を味見だけで区別した。


ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com